カツラ・ニッケイ・シナモン

秋の気配に誘われてやはり植物園に行きたくなりました。

まだマスク着用と入館前の体温測定は継続、研修展示館などは閉館していますが、植物たちは泰然と秋を迎えていました。

しかし自粛の影響で歩行能力が落ちたのか以前よりさらに足運びが悪い。

広い園内、杖をつきながら少しづつ見ることにします。

 

カツラ

 桂   カツラ科カツラ属の落葉高木

学名:Cercidiphyllum japonicum

分布:日本、中国

f:id:yuusuget:20201029182042j:plain

 

案内板によると漢字の「桂」はニッケイのようなクスノキ属やモクセイ属の樹木をさし、平安時代にはニッケイメカズラ、カツラをオカズラとよんでいたことから「 桂」の字が当てられたと。和名も「香出(かづ)」に由来するといわれます。

 

昨年11月21日、私はこの植物園でカツラの甘い香りを初体験しました。

   「つくば植物園の紅葉 2019

今年もあの香りをもう一度と思い、園内3箇所のカツラの木を巡りました。

10月18日 、池の東側、岩礫地のカツラ。

 葉はまだ黄変しきらず、落葉はわずか、香りもこれがそうかな?という程度。

f:id:yuusuget:20201027145117j:plain

 

雨後の10月24日、中央広場のカツラ。半ば落葉しています。 

f:id:yuusuget:20201027180746j:plain

 

しかし落ち葉の清掃が行き届いているせいか、香りは微かにという程度でした。

f:id:yuusuget:20201028223256j:plain

 

池に落ちたカツラの葉。

f:id:yuusuget:20201028212839j:plain

 

10月27日、残るは一番奥のブナやイヌブナの林にあるカツラです。

近づくにつれ昨年のキャラメルの匂いがよみがえってきました。

あ〜 この香りと、深呼吸。でもまだ昨年ほどには感じられません。

この香りはカツラの葉に含まれるマルトールという香気成分によるそうです。

マルトールは老化して乾燥した葉の組織が壊れて放出されると考えられています。

但し昨年は11月25日。葉は黄色か褐色で大半は落葉していました。

今年の香りのピークはもう少し後のようです。

f:id:yuusuget:20201028182559j:plain

 

真っ直ぐな幹は柔らかく、家具・仏像・碁盤・将棋盤などにも利用されてきました。

カツラは 雌雄異株。花や実の観察はまた来年の課題にしましょう。

f:id:yuusuget:20201027214755j:plain

 

ニッケイ

 肉桂 クスノキ科ニッケイ属の常緑高木

  学名:Cinnamomum sieboldii

 分布:徳之島・沖縄島・久米島、中国南部、インドシナ半島

中央広場にどっしり構えた大木があります。これがニッケイです。

f:id:yuusuget:20201029001414j:plain

 

樹下のベンチ。周りに落ち葉が積もります。

f:id:yuusuget:20201029013229j:plain

 

根や幹の皮に芳香と香味があり、お菓子や薬(健胃剤や発汗剤)などに利用されてきました。

ニッキ飴、八ツ橋、肉桂餅など現在も造られています。

f:id:yuusuget:20201029003342j:plain

 

 葉は長さ10cmくらいの被針形、革質で光沢があります。

3本の葉脈が美しい。

f:id:yuusuget:20201029005924j:plain

 

落ち葉を拾って嗅いで見ましたが香りは感じられませんでした。

しかし枯れ葉を砕くと確かにニッキの香りがしました。 

f:id:yuusuget:20201029010247j:plain

 

見上げると1cmくらいの緑色の果実が飛び出していました。

これはもう少し熟すと黒くなるようです。 

f:id:yuusuget:20201029013923j:plain


 

セイロンニッケイ    (シナモン)

      錫蘭肉桂   クスノキ科の常緑小高木  

 学名:Cinnamomum verum ( C. zeylanicum )

   原産:インド、マレーシア、セイロン島

 

つくば植物園ではセイロンニッケイも熱帯資源植物温室にありました。

シナモンはこの若い枝の樹皮を乾燥させたものだそうです。

f:id:yuusuget:20201029014357j:plain


すでに 温室の高さを超え、剪定されているようです。

f:id:yuusuget:20201029014711j:plain

 

葉は対生、ニッケイより大きく、狭卵形で光沢があります。

縦に3本の葉脈が入り、観葉植物としても美しい。

残念ながら今は花も実も見られませんでした。

f:id:yuusuget:20201029014914j:plain

 

シナモンはコショウ、グローブと並ぶ三大スパイスの一つとされ、熱帯各地で 栽培されています。

樹皮のまま細長く巻いたものはシナモンスティックとして流通、また粉末状にしたものはシナモンパウダーとしてシリアル・パン・ケーキや料理、コーヒーや紅茶などに使われています。
 

 

 

初秋の前庭

転居して2年になりました。

年をとると月日が経つのがどんどん早くなる感じがします。

あと10年住みたいと思っていたこの家も残り8年?

庭の樹々も茂ってきました。居間から見える庭の左側は和風の庭です。

f:id:yuusuget:20201009001450j:plain

 

モグラに荒らされたスギゴケも何とかセーフ。

ツワブキとフウチソウが予想外に大きくなりました。

これからツワブキの蕾が立ち上がり、フウチソウは枯色になります。

f:id:yuusuget:20201009010246j:plain

 
後の白い花はシモバシラ。

昨年5月下旬にポット苗を植えたものがこんなに大株になりました。冬季の氷華が楽しみです。

f:id:yuusuget:20201009002806j:plain

 

長い花穂に雄しべが平行に並んで白く輝いています。

f:id:yuusuget:20201009003303j:plain

 

庭の右側は草花の庭、彩りは安価で手間いらずのトレニアとベゴニア。

5〜6月にビオラを抜いてから 11 月に次のビオラを植えるまで咲いてくれます。

f:id:yuusuget:20201013214907j:plain

 

ベゴニアは前の記事の「シュウカイドウ」の園芸種。

花が多くて判りにくいのですが、雌花と雄花があります。

f:id:yuusuget:20201015093650j:plain

 

後方に白く見えるのは左がフロックス、中央と右はシュウメイギク

f:id:yuusuget:20201009160520j:plain

 

奥の方では3色(薄赤紫・淡青・青紫)のスーパートレニアが地面を覆いました。

追 記 :

このトレニアは「スーパートレニア・カタリーナ」という新しい栄養系品種で、以前は青紫色のブルーリバー(手前と右側)という品種だけでしたが、今年はアイスリバー(淡青色・中央)とピンクリバー(薄赤紫色・一番上)の3色(4株)を入手できました。

暑さに強く、這うように拡大してたくさんの花を咲かせますが、種子は出来ません。

中央左の白と紫の花は従来のトレニアです。

 

左上部の緑はアガパンサスクリスマスローズ

f:id:yuusuget:20201013233214j:plain


中央のシュウメイギクは背が高く、花は上を向いて咲きます。

これは庭の南側の塀際から撮った写真です。

f:id:yuusuget:20201014230315j:plain

 

右のシュウメイギクは背が低く、花の形も様々、柔らかい感じです。

日当たりが良い方(ここでは南東)を向いて咲きますから、居間から見るときはやや後ろ姿になってしまいます。

f:id:yuusuget:20201014225941j:plain

 

南西の隅に白花モミジアオイ、その右に紅花のモミジアオイ

間の白っぽい葉はシャクナゲモドキ(ロドレイア)。

f:id:yuusuget:20201009020506j:plain

 

西側のオミナエシは蝶を呼ぶ花、長く咲きましたがもう秋色。

f:id:yuusuget:20201009015114j:plain

 

その足元に初めて植えた白のフヨウが開花。

でも早速フタトガリコガヤの幼虫にしっかり食べられました。

f:id:yuusuget:20201009011543j:plain

 

サルビア レプタンスは爽やかな青。

背が高くなりましたが、アズレアよりは倒れ難いようです。

f:id:yuusuget:20201009012527j:plain

 

今年は秋晴れの良い日が少なく、急に寒くなって驚きました。

こちらは稲刈りも早くてもう殆どの田が終わっています。

街路樹にもはや紅や黄色が見られるところがあり、秋の進行が早そうです。

 

シュウカイドウ

シュウカイドウ

秋海棠 ウリ目シュウカイドウ科の多年生草本

学名:Begonia grandis 

分布:中国(揚子江以南・山東省・河北省)

花期:8〜10月

 シュウカイドウは意外にも外来植物でした。

園芸が盛んだった江戸時代初期の1641年(寛永18年)に中国から輸入され、群馬・栃木県以西に分布。

 和名はバラ科のカイドウに似た色の花が秋に咲くことから。

その後もシュウカイドウ科のベゴニアは種々日本に入りましたが、それらは「ベゴニア」と呼ばれています。

 

草丈40〜60cm、葉は左右非対称、互性。葉の長さは20cm未満。

f:id:yuusuget:20201005014115j:plain

 

シュウカイドウは何故か愛知の庭には育ち難く何度か植えても消えました。

こちらの庭には昨秋植えましたが、容易に生育し、今年はたくさん花が咲きました。

花は雌雄異花同株。まず一つの花序の上の方に雄花が咲き、のち下の方に雌花が開花します。

下の写真では開花しているのは雄花のみ、下方の雌花には稜のある子房があります。

f:id:yuusuget:20201007162228j:plain

 

これはシロバナシュウカイドウ(変種)です。

雄花は大きい萼片2枚と小さい花弁2枚、雄しべは中央に球状に集まっています。

f:id:yuusuget:20201006164745j:plain

 

二枚貝のような蕾、中はどうなっているのでしょう?

小さな花弁2枚が窮屈そうに収まっていました。

f:id:yuusuget:20201007171522j:plain

 

雄しべの頭部には花粉が見えません。よくよく見たら側面に開口しているのですね。

またベゴニアは湿度の高いところに生育するため花粉は粉質ではなく粘質だそうです。

f:id:yuusuget:20201007171207j:plain

 

雄花は花柄のまま落花します。

f:id:yuusuget:20201006003140j:plain

 

雌花には三角錐状の子房、2枚の大きな萼片、1枚の小さな花弁、黄色い雌しべがあります。

遠くから見ると雄しべも雌しべも同じように見えます。

実はシュウカイドウの雌花は蜜を分泌していない! 

そのため花粉を付けた昆虫が雄花・雌花の区別がつかぬまま、雌花にも訪花してくれるよう期待しているのだそうです。

f:id:yuusuget:20201006003658j:plain

 

雌しべは3つに分かれ、さらにそれぞれ左右に分かれて捩れています。

f:id:yuusuget:20201006004905j:plain

 

6組の捻れた柱頭は螺旋型とか豚の尻尾とか表現されていますが、これは昆虫についている粘性の花粉をこそげとるための形態のようです。

f:id:yuusuget:20201006165316j:plain

 

昆虫の気配がないと思って見ていた時、突然マルハナバチが訪れてくれました。

f:id:yuusuget:20201007122519j:plain

 

受粉成功、初めに咲いた雌花はもう三つの翼のある蒴果になりつつあります。

f:id:yuusuget:20201006175418j:plain


シュウカイドウは球根のみならず、葉腋に付く珠芽(むかご)でも殖えます。

すでに株元には小さい苗が多数育っていました。

f:id:yuusuget:20201006181026j:plain

 

葉の表面は緑色ですが、裏面は一般には薄緑色。しかしここのは赤色を帯びていました。

園芸種「裏紅秋海棠」だったようです。

f:id:yuusuget:20201006182959j:plain


シロバナシュウカイドウは葉脈が紅い。

f:id:yuusuget:20201006183331j:plain


荒い木柵の隙間から道路側へ花が覗きます。道ゆく人の目にとまるでしょうか。

f:id:yuusuget:20201007011101j:plain

 

一般にベゴニアは湿気の多い半日陰を好み、寒さに弱いのですが、シュウカイドウは耐寒性強く、つくば下ろしにも耐えました。

球根とむかごと種子により繁殖力旺盛、冬季は地上部は枯れますが球根が肥大し越冬します。

シュウカイドウは初対面、調べるほどに難しく、蕊の写真も撮りにくく難儀しました。

でもこれからは初秋の楽しみになるでしょう。

 

 「秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり」 松尾芭蕉 

                           

 

 

 

小さな生き物 2題 

1)アルテミア (Artemia)

甲殻亜門鰓脚綱サルソストラカ亜綱無甲目ホウネンエビモドキ科の節足動物

 

今夏小3の孫のために買った雑誌におまけが付いてきました。

アルテミア飼育キット」!

アルテミアは8500万年前、恐竜が生きていた時代から世界各地の塩水湖に生き続け、「生きている化石」といわれるホウネンエビモドキ科の節足動物だそうです。

キットには乾燥卵・海水の素・えさ・飼育ケースが入っていてすぐ 飼育を開始できます。

卵を紙の上に出しました。

黒い粉のように見えましたが、拡大すると凹んだゴムボールのよう。

f:id:yuusuget:20200922160124j:plain

                        

海水の素を入れて人工海水をつくり、卵を入れたらあとは待つだけ。 

マニュアルには1〜3日で誕生、5日で泳ぐと書いてありましたが、今回はばらつきが多く、泳ぐまでに2〜7日。 

孵化すると朱赤色の卵形になり黒い目が一つ見えます。

これは「ノープリウス幼生」といわれ、体長1mm弱。 

f:id:yuusuget:20200920012110j:plain

 

幼生はだんだん細長くなり、泳ぎ出します。

f:id:yuusuget:20200921165128j:plain

 

12時間で卵黄を消費し尽くし脱皮。餌として添付のきな粉(下方の塊)を与えます。

f:id:yuusuget:20200920012516j:plain

 

小さな水槽の中を絶えず動き回ります。鰓が形成されているようです。

f:id:yuusuget:20200921163924j:plain

 

1週後、体長約2mm、全体に灰色になりました。黒い複眼一対と胸部の鰓脚が見えます。

新しい海水をつくって数十匹のアルテミアを匙ですくって移動。

孫は「金魚すくいより簡単」と手早く移しましたが、老眼では見にくい。

また動きが早くて写真が撮れない。これは12日目やっと写した1枚です(脱皮後?)。

このあとも何とか撮ろうとカメラを近づけたらカメラが濡れてしまって断念。

15回ほど脱皮を繰り返して成体になるそうです。

f:id:yuusuget:20200920012749j:plain

 

追加 2020.9.24.

水面すれすれでの動画が写せましたが、ブログには載せられません。触覚と鰓脚を頻りに動かしています。

f:id:yuusuget:20200924093645j:plain

 

これはWikipediaから拝借した成体の写真です。体長8〜10mm。

左が雌、右が雄。

どう見てもあまりかわいくないですね。

アルテミア観賞魚の飼育用プランクトンとして利用するため養殖されているそうです。

f:id:yuusuget:20200921170725j:plain

孫用に買った雑誌のおまけの写真を撮ろうとして翻弄された2週間でした。
でもまだ飼育は続いています。

(海水の素と少し大きめの水槽を買い足しました。)

 

 

2)ノミバエ

 双翅目短角亜目ノミバエ科ノミバエ類の昆虫

学名: Phoridae

体長:約2mm

 

9月4日、目の前を細かい虫が飛び交いました。

飛蚊症? いえいえ、本物の虫です。

ヌカカ? もっと小さい。網戸を通過して侵入したと思われます。

たいへん! お皿にきました。

f:id:yuusuget:20200913174832j:plain

 

ぎりぎりまで拡大。

f:id:yuusuget:20200913174905j:plain

 

ついで机の上を徘徊。

手のひらでパシャーン! 蚊より動きが鈍く仕留め易い。 

その後も次々現れ、2日間で50匹くらい退治。

でも一体何物でしょう? 検索!検索!

やっとたどり着いたのは「ノミバエ」。翅の模様が決め手です。

f:id:yuusuget:20200913181524j:plain

 

ノミバエ科は全世界で4000種が記録され、Megaselia属にはその半数近くの1400種がいるそうです。これは動物界でもっとも種数の多い属だとか。

 

突然の襲来、一体どこから現れたのでしょう?

やはり外から網戸を通過してきたと思われます。

そして台所の生ゴミ用のゴミ箱に侵入。蓋があっても隙間から入ってしまいます。

昔、漬物桶に寄ってきた小さなハエに似ています。

生ゴミは一回づつ小袋に入れて密封、数日でいなくなりほっとしました。 

 

このまま終わるのも後味が悪い。

最後に今年初めてつくばの庭で咲いた紅白のモミジアオイ をご覧ください。

f:id:yuusuget:20200922174130j:plain

f:id:yuusuget:20200922174148j:plain

 

 

 

繁り過ぎた植物

塀ができたのは2019年の初め、露出した土を早く緑で覆いたくて春を待ちました。それから1年半、枯らしたもの、増え過ぎたもの、悲喜交々です。

今回は愛知県の庭にあったからと急いで植えて失敗した植物を記録します。 

1)ツルニチニチソウ

  日々草  キョウチクトウ科の常緑蔓性の半低木

  学名:Vinca major

  原産:ヨーロッパから西アジア

ツルニチニチソウは愛知県ではレンガの小径の狭い空間に植えてありましたが、花は清楚で手入れも楽、こちらにも早速10株植えました(2019.3.8.)。

しかし、この年はどれもただ蔓を伸ばすのみで花は咲かず。

(緑色の葉はキチジョウソウ)

f:id:yuusuget:20200907114118j:plain

 

今年4月やっと花を咲かせましたが、葉の勢いに比べ花は少なめでした。

f:id:yuusuget:20200907142440j:plain

 

ところがその後は勢いよく蔓を伸ばしてレンガの道を通せんぼ。

切っても切ってもすぐ伸び、エアコンの屋外機にも侵入します。

f:id:yuusuget:20200907115500j:plain

 

愛知県の庭ではこんなには繁らなかったと思い写真を探し出しました。

3種類のツルニチニチソウが植えてありました。

A) 緑色の葉のツルニチニチソウVinca major)

    葉が小さめで茎が直立しているものが多く、花数も多い。

f:id:yuusuget:20200907120917j:plain

 

B) 斑入りの葉(覆輪葉)のツルニチニチソウ

 つるが横にも伸びやすく今回植えた品種に似ていますが、葉は小さめです。

f:id:yuusuget:20200908104651j:plain

 

3) ヒメツルニチニチソウVinca minor)

 花も葉も小さめでゆっくり成長するタイプ。

f:id:yuusuget:20200907160429j:plain

 

今度植えた苗はB)斑入りの葉の系統ですが、花に対して葉が大きく思えました。

繁殖力が強く、すぐ通路を塞ぐので、頻繁に剪定しなければなりません。

また壁沿いに長い蔓を伸ばし、着地すると新たな根を出して次々と子株を作っていました。

 品種の改良でよりたくましくなっていたのか、ここの土の栄養分が多くて育ちすぎたのかはわかりませんが、狭い通路沿いには不合格、花が終わってから抜去しました。

 半低木と言われるだけあって根はたくましく、植えて1年半でも抜くのが大変でした。

 

2)ユーパトリウム セレスチナム 

 青色フジバカマ  キク科ヒヨドリバナ属の多年草

 学名:Eupatorium coelestinum 

 原産:アメリカ南東部、メキシコ

青色フジバカマは前の庭では暑さ寒さに強く丈夫で切花にもできましたから、昨年6月、通販で青色と白色の苗を入手、ボーダー花壇に植えました。

ところが予想を上回る繁殖ぶり、わずか3か月でこんなに繁茂!(2019.9.21.)

f:id:yuusuget:20200909013130j:plain

 

周りにも侵入し、やはり半年後に抜去せざるを得ませんでした。

しかし抜いてまたびっくり! 無数に枝分かれした太い根の塊!

細かい根は抜ききれず、未だに周辺で芽が出てきます。

やや大人しい白花を庭隅に1株、切り花用に移植しました。

f:id:yuusuget:20200909013157j:plain

 

3)ミウム・ガレオブドロン(ツルオドリコソウ)

  蔓踊子草  シソ科オドリコソウ属の蔓性多年草

 学名:Lamium galeobdolon
 原産:ヨーロッパ・アジア西部
初夏に黄色の花が咲き、葉に銀白色の斑が入ります。
とても丈夫で前の庭では放置しておいても季節に花が見られ、グランドカバーになりました。
しかし、これも蔓性、狭いボーダー花壇では通路にはみ出し、エアコンの屋外機の中に侵入。
また夏は日焼けしてみすぼらしくこれも抜去せざるを得ませんでした。
(左の紫色の花は ネペタ ファッシーニ キャットミント 。) 

f:id:yuusuget:20200909100813j:plain

 

花については「夕菅の庭」に記載しています。


4)ウキツリボク(チロリアンランプ

   浮釣木   アオイ科イチビ属の常緑低木

 学名:Abutilon megapotamicum

  原産:ブラジル   

 塀に沿った狭い通路には蔓性の植物を試しました。

ウキツリボクは愛知の庭では生育不良でしたが、こちらの町内ではよく育っていましたから、つくば下ろしにも耐えられそうです。

蔓を塀の隙間に入れて次の隙間から出せば、固定されます。

思いの外 生育順調ですぐ花が咲きました(2019.8.19.)。

f:id:yuusuget:20200909014742j:plain

 

1年後、しっかり繁り、緑の壁になりました(2020.7.6.)

と思ったのは束の間、繁り過ぎて隙間からお隣に伸び出してしまうことがあり、見つけると引き摺り下ろさねばなりません。

f:id:yuusuget:20200909014630j:plain

 

 花の姉妹が並びます。切り花でも楽しめました。

f:id:yuusuget:20200909020055j:plain

 

ところが、その2か月後の惨状!(2020.9.8.)
f:id:yuusuget:20200909015318j:plain

 

ハマキムシ(ワタノメイガ)の被害です。

先月載せたタイタンビカスから移動したのでしょう。

負けじと新しい葉が出てはいますがもカットも限界、悩んでいます。

f:id:yuusuget:20200909015431j:plain


全て順調に思えた1年目と異なり、2年目は枯れたり、増え過ぎたり悩ましい日々です。

花が咲けば昆虫が来る、チョウの訪問をうっとり眺めているのは幸せですが、こっそり侵入する招かざる客も多く、今朝も大量の毛虫退治に汗を流しました。

 

 

 

 

 

 

 

水辺の植物 つくば植物園

つくば植物園は5月18日から再開していますが、長い梅雨が開けると猛暑、まだしばらく行けそうにありません。

この機会に今まで撮ったままになっていた写真を整理することにしました。

初めに中央広場の水辺の植物を取り上げます。

 

1)タイリンオモダカ  

 大輪面高(面高は人面状の葉が高く葉柄上にあることに因む)

オモダカ科 Alismataceae   の多年草

 学名:Sagittaria montevidensis

 原産地:南アメリカ 

 オモダカ科は11属約100種からなる多年生の水生または湿性植物です。

代表は水田雑草のオモダカ、それを食用に改良したのがクワイと知ると親しみが増します。

タイリンオモダカは矢じり形の葉身が長さ60cmになる大型のオモダカです。

f:id:yuusuget:20200820113055j:plain

 

花の大きさはオモダカの2〜3倍、雌雄異花。

これは雌花。基部に大きな紅紫色のスポットがあります(20190627)。

f:id:yuusuget:20200820114038j:plain

 

こちらは雄花(20190728)。

f:id:yuusuget:20200820114011j:plain

 

キノコ型の果実(20190728)。

花が大きく美しいため水辺の公園や庭園に植栽され、帰化が按じられています。

f:id:yuusuget:20200820114306j:plain

 

2)ヒロハシャゼンオモダカ

 広葉車前面高

 オモダカ科 Alismataceae   の多年草

 学名:Echinodorus grandiflorus subsp. aureus

 原産地:南アメリカ 

ヒロハシャゼンオモダカは車前草(オオバコ)に葉の形が似ていることに由来します。 

f:id:yuusuget:20200820021916j:plain

 

5〜8月頃、長い花茎を伸ばして可憐な白い花を次々と咲かせます。

日本でも越冬するためアクアリウムプランツとして流通し、各地の水辺の公園などにも植栽されているようです。

f:id:yuusuget:20200818010839j:plain

 

花の直径は約4cm、3弁の両性花です(20190725)。

オモダカ科の多くの花は雌雄異花ですが、サジオモダカ属のヘラオモダカなどは両性花と記載されています。しかしヒロハシャゼンオモダカが両性花であるとの記載は未確認です。)

f:id:yuusuget:20200818010926j:plain

 

昨年撮った画像では全て両性花に見えます(20190531)。 

f:id:yuusuget:20200822101336j:plain

 

 3)ホソナガバミズアオイ

   細長葉水葵 ミズアオイ科の多年草

学名:Pontederia cordata var.lancifolia 

原産:北アメリカ東部

爽やかな藤色が涼しげな美しい花です。

f:id:yuusuget:20200820115508j:plain

 

円柱状に 下から咲いていく穂状花序。

f:id:yuusuget:20200820115527j:plain


 花弁は6枚、上中央の花弁に黄斑が目立ちます。

その下に短い雄しべが3本、さらに長い雄しべが3本。

これらはどんな昆虫を呼ぶための工夫なのでしょうか。また後日ゆっくり見てみたい。

f:id:yuusuget:20200824005123j:plain

 

 

4)マルナガバミズアオイ

   丸長葉水葵 ミズアオイ科の多年草

学名:Pontederia cordata var.cordata

原産:北アメリカ東部

幅広く柔らかそうな葉、花は穂状ですがホソナガバミズアオイよりまばらな感じです。

f:id:yuusuget:20200824011602j:plain

 

花弁は ホソナガバミズアオイよりやや細長い。

撮影時期が遅かったらしく雄しべが目立ちません。

f:id:yuusuget:20200824014314j:plain

 

花が萎んだ花序。どんな実ができるのでしょう? また宿題です。

f:id:yuusuget:20200824235313j:plain

 かっては日本にたくさんあったミズアオイも今は絶滅が按じられています。

一時は恐ろしいほど殖えていたホテイアオイもこの頃あまり見ませんね。

涼しくなる頃にはコロナ禍も落ち着いてまた植物園に行けますよう祈っています。

 

招かれざる客

1)モグラ

長い長い梅雨でした。明ければ猛暑、今年は厳しい夏ですね。

7月中旬、梅雨の止み間に庭に出ると芝生と花壇の境目に土が盛り上がっていました。

辿っていくと 家庭菜園から苔庭までコの字に3辺、合計15mくらい続いているようです。

f:id:yuusuget:20200807233156j:plain


終点はナツツバキの根元。

ここは初めて育てたスギゴケの庭です(2020.6. 8.)。

f:id:yuusuget:20200807222948j:plain


モグラは容赦無く苔を蹴散らして掘り進んでいます。

f:id:yuusuget:20200808000621j:plain

 

芝生が苔庭に侵入するのを防ぐため昨年末に息子が造ってくれた境界に沿っています。

一度掘ってあるから掘り易いのでしょう。

f:id:yuusuget:20200808000644j:plain

 

つくばいの近くは水っぽいのか、ここで方向転換、根元に向かっています。

そのとき、ここの黒っぽい土がもこもこ動きました!

発掘進行中! モグラはこの下にいる!!! 

でもどうすることもできません。掘れば苔が傷みます。

見逃せばもっと荒らすでしょう。

とっさに近くの散水ホースを伸ばしてストレート放水!

これが有効だったようです。発掘は止まりました。

その後、バックして畑に帰りさらに裏庭へ、そしてどこかへ消えたようです。

やれやれ! 

f:id:yuusuget:20200808000843j:plain

 


2)セスジスズメ幼虫

玄関の北の通路脇に昨春から自生しているアカバナユウゲショウが通路を塞いでいます。

そろそろカットしないと思いつつも花を見ると切りにくい。

f:id:yuusuget:20200810171547j:plain

 

と、突如怪物現る!!! 

一体どこから来たのでしょう!   

f:id:yuusuget:20200810173336j:plain


背伸びしてユウゲショウの葉をもりもり食べています。

愛知の庭でも撮りましたが、こんな大きな幼虫は初めてです。

もうすぐ蛹になりそうです。体長10cmくらいに思えましたが文献では8〜9cmと。

そのまま放置、跨いで通りました。   

食草はヤブガラシなど、これは隣地にありましたが食べ尽くしたのでしょうか。

f:id:yuusuget:20200810124830j:plain

 

幼虫は翌朝には消えていました。

これは2011年9月 愛知の夕菅の庭で写した成虫です。

f:id:yuusuget:20200810173729j:plain

 

3)ワタノメイガ

 綿野螟蛾  一般にハマキムシ(葉巻虫)といわれる蛾の一種

 ツトガ科 ノメイガ亜科

アオイ科の花は大らかで好きですが、虫がつき易いのが欠点です。

昨年植えた タイタンビカスが今年も大きく開花しました。

f:id:yuusuget:20200811172816j:plain


 ところが今年はワタノメイガの発生が夥しい。

次々と葉が巻かれ、花まで食べられます。

虫のいる葉を見つけると部分切除していますから、もうまともな葉が少ない。

f:id:yuusuget:20200811172347j:plain

 

前の庭ではスイフヨウやオクラにはフタトガリヤがよくつきましたが、こちらでは今のところ見つかりません。

ワタノメイガはくるりと巻いた葉を白い糸で止めています。

f:id:yuusuget:20200811173438j:plain

 

巻いた葉の中には青い幼虫が1匹づつ。

小さいのは長さ1cmくらい、大きな幼虫で約2cm。

f:id:yuusuget:20200811154050j:plain

 

これは裁縫上手な幼虫、しっかり糸で止めてあります。

葉を噛み切って、くるりと巻いて糸で止める。たいしたものですね!

食料でできた住まい、安全で涼しそうです。ここで蛹になって羽化。

f:id:yuusuget:20200811173916j:plain

 

幼虫の後は清らかな花の画像で終わりましょう。

タイタンビカスの花は朝咲いて夕には萎む1日花。

f:id:yuusuget:20200811175726j:plain

 

この花はモミジアオイの苗を探していたとき、偶々見つけたアオイ科の新しい園芸種です。

花の直径は約20cm。

アメリカフヨウとモミジアオイの交配選抜種だそうです。

つくばでも何ら防寒せず越冬しましたが、ワタノメイガに弱いのが残念です。

f:id:yuusuget:20200811175642j:plain

 

招かれざる客3題、しかしこれらを書くうちに、それぞれの生命力に打たれました。

それでも私は植えた植物たちを守らねばなりません。