厳 冬

  明けましておめでとうございます。

    f:id:yuusuget:20210105165114j:plain

 

 

つくばで3回目の冬は厳しい寒波に見舞われました。

連日シモバシラに霜柱ができて正午になってもまだ残っていることもあります。

晩秋植えた草花は毎朝凍てついていて哀れです。

この花の少ない季節に咲いてくれるのが椿、漢字では木へんに春と書きますが、木へんに冬の方がぴったりしそうです。でもそれでは柊(ヒイラギ)になってしまいますね。

ツバキは万葉集にも度々詠まれています。

巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を

 あしひきの八つ峰の椿つらつらに見るとも飽かめや植ゑてける君

 

侘助

前の庭から移植した紅白の侘助がやっと存分に花開きました。

f:id:yuusuget:20210103014543j:plain

 

f:id:yuusuget:20210103014718j:plain

 

侘助

f:id:yuusuget:20210103014946j:plain

 

f:id:yuusuget:20210105011503j:plain

 

初雁(はつかり

 別名「昭和侘助

2018年11月、追加植樹を依頼した地元の庭師さんが植えてくださった侘助の1種です。

f:id:yuusuget:20210105014651j:plain

 

侘助よりやや大きい淡いピンクの花が咲きました。葉は細長い。

f:id:yuusuget:20210105014804j:plain

 

寒波のせいかこれもたちまち落花。

でもその下にヒメヒオウギやヒメフウロの葉の緑があって幸いでした。

f:id:yuusuget:20210105014926j:plain

 

クリスマスローズ(ヘレボルス・ニゲル)

今一番見頃は北側花壇のクリスマスローズです。

まわりはやや紅葉したものの元気なヤブコウジf:id:yuusuget:20210105181325j:plain

 

ニゲルはすでにクリスマス前から咲いていました(12月16日)。

f:id:yuusuget:20210105235252j:plain

 

純白だったニゲルの萼片は次第に赤みを帯びてきました。

ヤブコウジの葉もさらに赤くなったようです。斑入りの葉はフッキソウ

これで手入れが楽な北側通路になりました。

f:id:yuusuget:20210106225529j:plain

 

毎夕、本日の新型コロナウイルス感染者数を恐る恐る聞いています。

 今日の感染者は最多の6006人、明日は緊急事態宣言が出されるようです。

f:id:yuusuget:20210106000215j:plain

               (1月2日16時30分、居間から見た西の空)

シモバシラの霜柱 2020-2

シモバシラの霜柱については 1月にも書きましたから、今年は控えようと思っていました。

ところが今年は昨年とは大違い、やはり記録しておきたくなりました。

 

12月16日(1日目)

つくば市の最低気温 −3.9℃。

前日からの寒さで咲いたばかりのツバキ(侘助)がほとんど落花してしまいました。

その左奥のシモバシラに白いものがわずかに付いています。

f:id:yuusuget:20201219012233j:plain

 

今年はシモバシラをあまり切らずに霜柱がどの高さまで出来るかを確認するつもりでした。

通るのに邪魔な手前の茎だけカット、落ち葉もまだそのまま残っています。

f:id:yuusuget:20201219011830j:plain

 

左の2本の霜柱は高さ60cmほどのところにもできました。

f:id:yuusuget:20201223140900j:plain

 

12月17日(2日目)最低気温−6.2℃

7時半、居間から見たシモバシラ、真っ白です!

f:id:yuusuget:20201219015209j:plain

 

−6.2℃に相応しい立派な霜柱ができていました。

f:id:yuusuget:20201222233142j:plain

 

 大きな糸巻き型です。

f:id:yuusuget:20201222012020j:plain

 

幾重にも巻かれています。コンデジを近づけて接写。

f:id:yuusuget:20201222012205j:plain

 

ここは塀の北側で直射日光が少なく、霜柱も長く楽しめます。

さすがにお昼頃にはかなり融けました(12時35分)。

f:id:yuusuget:20201222015022j:plain

 

14時25分 一部はまだ解けきらず残っています。

皮層が剥がれて裸になった茎が露出、痛々しく見えます。

f:id:yuusuget:20201222174701j:plain

 

12月18日(3日目)最低気温−4.7℃

昨日露出していた茎もまた厚く氷の包帯で巻かれました。

f:id:yuusuget:20201222180218j:plain

 

11時10分 霜柱が解けていきます。

f:id:yuusuget:20201222225442j:plain

 

19日(4日目)最低気温−3.1℃

この日は1日目と同じくらいで今年はこれでお終いかと思いました。

 

20日(5日目)最低気温−3.1℃

ところが翌日はまた大盛況。

f:id:yuusuget:20201223151319j:plain

 

すでに茎の皮層(表皮と師部)は裂けて脱落し、露出した木部から吹き出したように霜柱が形成されています。

f:id:yuusuget:20201223123656j:plain

 

12月21日(6日目)最低気温−4.3℃

真上から写しました。

f:id:yuusuget:20201223152412j:plain

 

12月22日(7日目)最低気温−5.5℃

また気温が下がりました。

今月は雨が少なく周囲の土は乾いているのにまだ豪快な霜柱が形成されることに驚きます。

f:id:yuusuget:20201223124257j:plain

 

 

一方、裏庭のシモバシラはまた趣の変わった霜柱を作ります。

12月17日 (東から)

f:id:yuusuget:20201222012603j:plain

 

12月17日 (西から)

f:id:yuusuget:20201223003912j:plain


 大きな荷物?

f:id:yuusuget:20201222080741j:plain

 

北の道路からも木塀の隙間から見えます。

通る人に見せてあげたくて暫し待ちましたが、この朝の寒さ、誰も通りません。

f:id:yuusuget:20201222014324j:plain

 

参考のため、気象庁の HP から つくば市の気象データを添付します。

この庭の霜柱に気付いたのは12月16日からです。

15日は確認していませんが、この日以降最低気温と最小湿度が著しく下がっています。

 

月ごとの値 旬ごとの値 半旬ごとの値 日ごとの値

つくば(館野) 2020年12月(日ごとの値) 主な要素

気圧(hPa) 降水量(mm) 気温(℃) 湿度(%) 風向・風速(m/s) 日照
時間
(h)
雪(cm)  
現地 海面
平均 平均 合計 最大 平均 最高 最低 平均 最小 平均
風速
最大風速 最大瞬間風速 降雪 最深積雪    
1時間 10分間 風速 風向 風速 風向 合計
1024.2 1027.6 -- -- -- 7.8 14.0 1.6 80 48 1.4 2.6 4.9 9.3 -- --    
1022.5 1025.9 4.5 2.5 1.0 6.9 9.4 3.2 84 64 1.8 3.5 東北東 7.0 北東 0.0 -- --    
1014.2 1017.6 0.0 0.0 0.0 7.1 10.0 3.8 95 82 1.6 3.2 北西 5.3 北西 0.2 -- --    
1019.3 1022.7 -- -- -- 6.9 13.0 0.8 69 36 1.6 2.8 北北西 6.9 北西 9.4 -- --    
1021.4 1024.8 1.0 0.5 0.5 5.1 7.3 2.7 93 67 1.3 2.8 北西 4.4 北西 0.0 -- --    
1020.7 1024.1 -- -- -- 6.6 13.7 0.8 85 49 1.3 2.1 北西 3.5 東北東 7.0 -- --    
1016.5 1019.9 -- -- -- 6.7 15.6 0.7 83 42 1.1 2.2 北北東 3.5 9.3 -- --    
1014.2 1017.5 -- -- -- 8.6 15.8 1.1 73 47 1.9 4.1 東南東 8.3 東南東 7.4 -- --    
1020.0 1023.4 0.0 0.0 0.0 7.9 11.1 4.1 65 49 1.5 2.6 北東 5.0 北北東 1.5 -- --    
1015.8 1019.1 0.5 0.5 0.5 7.4 11.8 3.6 88 73 1.5 3.3 北北西 5.2 北西 0.2 -- --    
1013.4 1016.7 -- -- -- 7.7 13.5 0.5 86 60 1.1 2.2 南南東 4.0 東南東 4.9 -- --    
1005.1 1008.4 0.0 0.0 0.0 10.0 14.6 5.9 77 53 1.8 3.6 東北東 7.7 東北東 3.2 -- --    
1006.0 1009.4 -- -- -- 7.6 15.7 2.8 80 37 2.0 5.6 北西 10.8 北北西 5.3 -- --    
1004.7 1008.1 0.0 0.0 0.0 5.3 12.1 0.1 70 42 1.8 3.5 北東 7.4 北東 4.1 -- --    
1007.5 1010.9 -- 0.0 -- 2.6 11.2 -3.6 63 24 2.1 6.1 西北西 12.5 西 8.8 -- --    
1008.8 1012.2 -- -- -- 1.8 9.4 -3.9 59 25 2.4 5.6 西 10.7 西北西 8.9 -- --    
1013.5 1017.0 -- -- -- 1.1 8.3 -6.2 58 26 2.6 6.2 西北西 12.9 西 9.4 -- --    
1014.1 1017.6 -- -- -- 2.5 11.5 -4.7 61 27 1.5 2.9 北西 5.0 西 9.2 -- --    
1012.0 1015.4 -- -- -- 2.6 10.5 -3.1 60 26 2.0 5.6 北西 11.8 西北西 5.9 -- --    
1016.3 1019.8 -- -- -- 2.9 8.6 -3.1 49 26 3.6 7.1 西北西 14.0 北西 9.4 -- --    
1018.6 1022.1 -- -- -- 2.4 10.3 -4.3 56 28 2.0 5.1 西 9.7 西北西 9.5 -- --    
1018.6 1022.1 -- -- -- 2.0 11.4 -5.5 72 32 1.6 3.2 南南西 5.0 南南東 8.7 -- --    
23                          

 

 雨が降らなくてもシモバシラの霜柱はしっかり出来ることがわかりました。

2年前は凍土に驚きましたが今年は凍土どころか、霜柱もできないほど乾いています。

シモバシラは深く根を張って水を汲み上げていることが推察されました。

(シモバシラの霜柱の成因については「夕菅の庭」シモバシラの霜柱(2)に記しました。)

  http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2011-02-05  

しかし、シモバシラは何のためにこのように大量の水を吸い上げて放出するのでしょう?

まだまだ謎に満ちた植物です。

  

これで今年のブログはお終いにします。

温かいコメントをありがとうございました。

厳しい年になりましたが、来年は何とか明るくなりますよう祈っています。

 

追記 12月24日 

今朝はシモバシラは出来ていません。これは連続7日発生の記録となりました。

参考のため今年花が咲いた時の画像を添えておきます。

f:id:yuusuget:20201224083610j:plain


 

 

 

懐かしい花達

もう師走も中旬、しかしまだ晩秋の庭の花々が記録されていません。

毎日が日曜日のはずなのに、何事も鈍間になって捗りません。

とにかく今年のうちに懐かしい花達だけでも振り返りましょう。

 

ヤノネボンテンカ アオイ科の落葉木

南アメリカ原産、園芸名「高砂芙蓉」

この花は今は亡き叔母から苗をいただき、愛知の庭ではあちこちに繁茂していました。

前のブログの最初に取り上げた花でもありました。

 

 しかしこの花の関東での分布は比較的少ないようです。

外来植物でもあり、狭い庭には不向きかとも思って転居の際、移植を断念しました。

 ところが持ってきたクリスマスローズにヤノネボンテンカの根が付いてきたらしく、昨年ヤジリのような葉を発見、今年は花が咲きました。

f:id:yuusuget:20201201215427j:plain

 

 最初の開花が9月でしたから、この花の特徴でもある閉鎖花は無し。

今もまだ蕾がありますが、寒さに弱く花はもう小さく辛うじて開花しているという状態です。

 今朝は冷たい雨に濡れていました。

でもこのままではクリスマスローズが負けますから、一度掘って分離することになります。

f:id:yuusuget:20201210124011j:plain

 

愛知の庭のヤノネボンテンカ 最盛期の頃(2016.8.26)。

この花の閉鎖花のことなど、もう一度まとめたいと思いながら果たせず転居したことも悔やまれます。

f:id:yuusuget:20201203123325j:plain

追記:12月13日

ヤノネボンテンカとクリスマス ローズが一塊となった株を掘って分離しようと思いましたが、ヤノネボンテンカの根は深く広く伸びていました。

この繁殖力を考えるとやはり移植は避けるべきと考え、本日抜去しました。

 

 

ダンドク カンナ科の多年草

 原産地:熱帯アメリ

ダンドクの苗は10年前に淡路の花友達 Mさんからいただきました。

これは大株になっていましたから、種子を持ってきて昨春庭隅に撒きました。

10個中2個だけ発芽、しかし1株はいつにまにか消え、1株だけ豊かに葉を広げました。

f:id:yuusuget:20201201233603j:plain

 

10月14日 感激の開花!

 小笠原諸島に残存していたダンドクの子孫だそうです。

 寒いつくばで、それも10月中旬になってからよく開花したものです!

f:id:yuusuget:20201201232552j:plain

 

合計5花開花、実も出来つつあります。

f:id:yuusuget:20201202014108j:plain

 

これは前の庭の最盛期の頃の画像です。

f:id:yuusuget:20201204011622j:plain

 

コバノタツナミ   シソ科の多年草

これは愛知県犬山市の花友達 Iさんから送っていただいた株ですが、こちらの寒さに耐えて咲き続けています。

愛知県一宮市の庭では何度かいただいても夏越しができず消えていました。

茨城県つくば市の気候は合うようで昨年より大株になっています。

赤紫色の匙状のものは花冠が落ちた後に見える萼の付属物、この下に種子があります。

f:id:yuusuget:20201209000810j:plain

 

花が終わっても萼が花のようで楽しい。

真冬の間も葉は濃緑色を保ちました。

f:id:yuusuget:20201209023117j:plain


 一宮で咲いた紫色のコバノタツナミ(2010.4.25.)、でも一夏で消えました。

花の色は白やピンクもあるようですからまた増やしていこうと思います。

f:id:yuusuget:20201204012237j:plain

 


 サルビア コクシネア シソ科の1年草(〜常緑多年草

原産地 中央〜南アメリカ

一宮では園芸店で買った苗から種子が落ちて毎年自生し花を咲かせていました。

増えすぎず、絶えず、この優しい色合いが好きでした。

f:id:yuusuget:20201204012653j:plain

 

こちらでは園芸店での出会いがなく寂しく思っていた時、Mさんが種子を送ってくださいました。

しかし、種まきに失敗し、辛うじて育ったのはこれだけ!

f:id:yuusuget:20201203020323j:plain

 

しっかり種を作ってまた来年一人で生えてきてね。

f:id:yuusuget:20201203020855j:plain

 

セキヤノアキチョウジ  関屋の秋丁字 シソ科の多年草

これも10年前に前のブログに記した花です。

転居後の真冬、急に人手に渡ることになった一宮の庭から Iさんがクリスマスローズと一緒に掘って送って下さいました。

まだ小株ですが2年目の開花、もう大丈夫でしょう。

f:id:yuusuget:20201203021127j:plain

 

セキヤノアキチョウジは西日本のアキチョウジに比べて花数が多く、たおやかな印象です。

この色がなんとも美しく、これを見るのは秋の楽しみの一つでした。

f:id:yuusuget:20201203021300j:plain

 

前の庭では居間の真前にあり、2006年にはこんなに大株になりました。

朝日が当たって輝いていたこの日のセキヤノアキチョウジは忘れられません。

f:id:yuusuget:20201204013450j:plain

 

 今回は思い出につながる花達を集めました。

まだまだ懐かしい花がありますが、こちらの庭ではもうほぼ飽和状態のようです。

小さな苗はたちまち大きくなり、喜びと悩みをもたらします。

でもコロナ禍の年、ここはありがたい空間でした。感謝しています。

 

 

赤い実(つくば植物園2020)

今週の冷たい雨は「冬」の予告編。

美しかった街路樹の紅葉も終わり、路傍には落ち葉が降り積もっています。

秋の植物園を楽しみながら撮った写真を急いで連ねることにしました。 

 

イイギリ  飯桐 ヤナギ科イイギリ属

植物園の案内「みごろの植物」で10月中旬から今週のベスト1になっているイイギリは必見です。

ところが、立札があるところへ行っても太い幹が見えるだけ。

f:id:yuusuget:20201126014503j:plain

 

でも見上げると別世界!

緑のハート型の葉の間から小さなブドウの房ような赤い実が散見されます。

昔、このキリに似た大きな葉に飯を盛ったので飯桐(イイギリ)と呼ばれるようになったのだそうです。

雌雄異株だそうですから近くに雄株もあるのでしょうね。

花期になっても高くて花は見られないかもしれません。

f:id:yuusuget:20201126015025j:plain

 

光が当たった実は輝くような紅!

首がだるくなるまで見惚れてしまいました。

落葉してからもしばらく実は残りますが、冬季、順に落下します。

f:id:yuusuget:20201126014351j:plain

 

しかし、落下した実には輝きはありません。

f:id:yuusuget:20201126020756j:plain

 

マユミ 檀 ニシキギ

赤い花のトンネルかと思ったらマユミの実でした。

愛知では虫に取り憑かれて何年も見られなかった景色です!

f:id:yuusuget:20201125220639j:plain

 

 見上げると種子が見えるものもありました。

果皮が4つに割れて種子が一つ、のぞいています(種子は4個)。

                                     f:id:yuusuget:20201125221216j:plain

 

コマユミ 小檀 ニシキギ

コマユミの紅葉は早い。

池端のコマユミは11月中旬もうこんなに紅くなります。

f:id:yuusuget:20201126221130j:plain

 

でも見渡してももう殆ど実が見当たりません。

花も実もまた来年見に来ましょう。

f:id:yuusuget:20201126215931j:plain

 

ハクサンボク 白山木 レンプクソウ科ガマズミ属

ハクサンボクの実は初めて見ました。

花もガマズミに似ているそうですが、葉が常緑で光沢があります。

f:id:yuusuget:20201126000048j:plain

 

艶やかな緑の葉に透き通るような紅が映えていました。

f:id:yuusuget:20201126000140j:plain

 

追加:昨年撮った写真がみつかりました(2019.10.24.写)

f:id:yuusuget:20201129160104j:plain

 

フユイチゴ 冬苺 バラ科キイチゴ

これも偶々見つけました。いかにも美味しそうですね。

f:id:yuusuget:20201126002302j:plain

 

ヒメイチゴノキ 姫苺の木 ツツジ科イチゴノキ属

樹高3mくらいありそうです。

こんなに大きくてもヒメ?と思いますが、イチゴノキはもっと大きくて10mにもなるそうです。

f:id:yuusuget:20201126214221j:plain

 

花と同時に前年の実が赤く熟して色を添えます。 

f:id:yuusuget:20201126215021j:plain

 

釣鐘状の花の中を覗くと雌しべ1本と赤い葯?

f:id:yuusuget:20201128111227j:plain

 

 

愛知でも庭にあり、冬季にかわいい花が咲くのが嬉しい木でした。

花の構造が知りたくて熱中したこともありました。

f:id:yuusuget:20201127162530j:plain

 

花の構造を調べるために花冠を開いたところ。

雌しべ1本、雄しべ10本。赤いのは葯室。この中に花粉が入っています。

葯の先端にある白い突起に昆虫が触れると花粉がこぼれ落ちるという仕組みです。

f:id:yuusuget:20201127162400j:plain

 

植物園では遠くからしか見えぬこともしばしば。もちろん採取は御法度。

このように細部を観察できないのが残念です。



 

 

 

 


 

 

モグラ

今年8月11日、「招かれざる客 1)」として モグラの記事を書きました。

放水で追っ払ったように思ったモグラ、その後また悩ましいことになりました。

10月22日、突然、庭の芝生の上に土が盛られました。

大小2個!大きいのは直径約30cm(赤いのは携滞電話のケースで縦14cm)。

f:id:yuusuget:20201116012348j:plain

 

 さらにもう一箇所、デッキと芝生との間にも。

f:id:yuusuget:20201116012602j:plain

 

 モグラに違いない!

前回同様、水で追っ払おうと思いました。

ホースの水を勢いよく掛けるとあらあら、土が溶けてなくなり、小石だけ残りました。

f:id:yuusuget:20201116012853j:plain

 

その2日後(10月24日)、つくばい近くにまた大小2個づつの盛り土!

これを「モグラ塚」というそうです。

今年最後の芝刈りが終わったばかりの庭が無惨です。

f:id:yuusuget:20201116014124j:plain

 

前と同じく大小2つづつ!

何か良い撃退方はないかと検索しましたが、見つかりません。

ネズミ捕りのような装置もあるようですが、もし掛かってしまったらどうするのでしょう?

前の庭で見た死んだモグラの美しい毛皮と小さな手足が思い出されます。

f:id:yuusuget:20201116014838j:plain

 

もう一度だけとひたすら水をかけました。

もうこれで諦めて他所へ行ってくれますように!

f:id:yuusuget:20201116015528j:plain

 

翌25日(日曜日)、朝おそるおそるカーテンを開けると..........!

 またまた大小2個づつ! もう降参!

近くに住む息子の携帯に写真を送りました。彼はここの芝生を植え、その後の芝刈りや手入れもしてくれています。f:id:yuusuget:20201116020102j:plain

 

1時間後一輪車に道具や土を載せた息子が現れました。

土を掬って除け、少し踏み固めて芝生の目土を撒きました。

 前回分の小石もきれいに拾って完了。水は撒きません。

自分の家の芝生や菜園も今までに何度もモグラの被害に遭ったそうです。

もう「共存」するしかないと。

f:id:yuusuget:20201116021144j:plain

 

私は今まで共存まで思い至りませんでした。

確かにモグラが来るということは農薬や化学肥料を使わず、ミミズや甲虫の幼虫が育つ良い土の証しです。でも畑ならまだしも、折角生え揃った芝生は荒らされたくなかった!

しかし、その翌朝、またもや大小2つづつのモグラ塚!

f:id:yuusuget:20201116021408j:plain

 

でももう共存することにしました! 息子がしたように一人で修復。

一雨降ればもう少し目立たなくなるでしょう。

f:id:yuusuget:20201116022542j:plain

 

偶々、つくば植物園では10月24日から「きのこ・カビ・酒」の展示中でした。

10月27日に訪れたときビデオは「ナガエノスギタケ」を放映していました。

驚きました!

ナガエノスギタケは別名「モグラノセッチンタケ」ともいわれ、モグラのトイレ跡から発生するというキノコでした(「セッチン」は昔の言葉でトイレのこと)。

マツタケを少しのっぽにしたような形をしていてやや白っぽい。

このキノコの根を辿っていくとモグラの古いトイレがあるそうです。

これを研究されたのは京都大学名誉教授の相良直彦先生。

スコップとツルハシを手に、日本各地ですでに100例ほども実証されたそうです。

 このキノコ以外にも動物の糞から発生するキノコは多くあり、キノコは森の掃除屋さんともいわれます。

ビデオを見ながら私はなんと浅はかなことをしたものかと恥ずかしくなりました。

大小の盛り土、小はトイレでしょうか。

この植物園にもモグラはたくさん住みついているようで、あちこちに盛り土が見られます。

ここはカツラの木の下、盛り土がたくさんあって大小ははっきりしません。

f:id:yuusuget:20201116023037j:plain

 

ここにも7〜8か所のモグラ。巣穴とトイレの判別はできません。

f:id:yuusuget:20201116023420j:plain

 

うちの芝生が4回も掘られたのはよほどこの庭が気に入ったからでしょう。

4回とも大小で2組づつ。巣穴とトイレのセットと思いたくなります。

一方、うちのミニ菜園には落とし穴のようなところがあります。

4つ足の小椅子を使って種を撒こうと腰を下ろした途端、ふわ〜と後ろに転倒!

草取りの時も1度、ひっくり返りました。

モグラの穴に椅子の後足を1本乗せたようです。

でも今は地下のモグラと共存しているかと思うと心穏やかな日々です。

 

最後にこの庭にもナガエノスギタケが出るか否か?

答えは否。ナガエノスギタケはブナ科の植物と共生関係があり、畑や庭には出ません。

キノコは森の浄化に貢献しているのです。

 

追記

ナガエノスギタケや相良直彦先生について調べている時、これらを詳しく説明されているHPを見つけました。お許しを得ましたのでご紹介させていただきます。

「きのこびと」きのこニュース 2020.8.24.

https://kinokobito.com/archives/5413

 

 

秋の草花(つくば植物園2020)

 

サラシナショウマ

サラシナショウマについては昨年11月20日の記事にしました。

今年は10月24日 訪問、思わず歓声を上げました。

花数が多く、ちょうどこの日が最盛期かと思われる見事な咲きっぷり!

f:id:yuusuget:20201103003540j:plain

 

まだ蕾もたくさんあってしばらく楽しめそうでした。

f:id:yuusuget:20201103003743j:plain

 

ミズトラノオ

 水虎の尾  シソ科 ミズトラノオ属の多年生植物

 学名:Pogostemon yatabeanus  

 分布:日本・中国・韓国 (湿性植物)絶滅危惧II類  

初めて見る花でした。10月18日 ちょうど見頃だったようです。 

f:id:yuusuget:20201104164848j:plain

 

淡い赤紫色の花穂を虎の尾に見立て水辺に生えるからと命名されました。 

細い葉が4枚づつ輪生しています。

f:id:yuusuget:20201104162427j:plain

 

前回 足場が悪くて接写できず、9日後に再訪したときはすでに花期終盤で残念、出来るだけ近くで写した花穂を精一杯拡大しました。

花冠は唇形ではなく4裂し、雄しべが4本づつ突出しているそうですが、この写真でははっきりしません。

雄しべの花糸には長い毛が密生。先端が2裂して Y に見えるのが雌しべです。

f:id:yuusuget:20201109014821j:plain

 

センブリ

   千振  リンドウ科センブリ属の二年草

   学名:Swertia japonica

 和名は「千度振り出してもまだ苦い」ことからと言われ、最も苦い生薬だそうです。

 高さ20〜30cm。見た感じはまことに清楚な花です。

f:id:yuusuget:20201104174059j:plain

 

花径2〜3cm、花冠は深く5裂。花弁には淡紫色の脈があります。

f:id:yuusuget:20201104174149j:plain

 

蜜腺は基部に2個づつあり、その周りに細い毛が生えています。

f:id:yuusuget:20201109162436j:plain

 

雌しべの形はアケボノソウにそっくりです。

f:id:yuusuget:20201110225141j:plain

 

チラシバ

  力芝  イネ科チカラシバ属の多年草

  学名:Pennisetum alopecuroides

手強い雑草として嫌われるチカラシバも踏まれることもなく育てば、紫色のブラシのような花序がなかなか美しいものです。

f:id:yuusuget:20201108105643j:plain

 

「力持ち」と紹介されていました。

f:id:yuusuget:20201113004938j:plain

 

キクタニギク

  キク科キク属の多年草

  学名:Chrysanthemum seticuspe

     Chrysanthemum boreale (Makino)

  別名:アワコガネギク。

どこにでもあるようで、この頃あまり見ないキクが目に入りました。

京都の菊渓(キクタニ)とよばれる奥山に自生していることから名付けられたそうですが、牧野富太郎はこれを「アワコガネギク」と名付けたとか。

分布:東北・関東・近畿・九州北部・朝鮮半島・中国東部

f:id:yuusuget:20201108111606j:plain

 

花径1.5cmほどでシマカンギクより小さい。準絶滅危惧種

f:id:yuusuget:20201108111718j:plain

 

トリカブト

   Aconitum

  鳥兜 キンポウゲ科トリカブト属の総称 

有毒植物として有名なトリカブトは世界に約300種、日本に40種近くあるそうです。

有毒成分はアルカロイドの一種のアコニチン類で、山菜 の季節に間違って食べて中毒を起こしやすい植物ですが、塊根は漢方薬 附子(ブシ)の原料として利用されています。

 

鳥兜は舞楽で用いられる華麗な被り物のことで、鳳凰の頭になぞらえて兜と首の後ろを守る「しころ」から成り、この花の姿に似ています。ここに見えている部分は花弁では無く萼。

(この写真はかって六甲植物園で撮ったヤマトリカブト

f:id:yuusuget:20201111214602j:plain

 

ヤマトリカブト

 山鳥兜 キンポウゲ科トリカブト属の多年草(擬似一年草

    学名:Aconitum japonicum subsp. japonicum 

 分布:関東地方太平洋側

2020.11.6. 美しい青紫色の花が咲いていますが、奥の方で近寄れません。

f:id:yuusuget:20201111120557j:plain

 

ぎりぎりまで拡大。葉は薄く3-5深裂。

f:id:yuusuget:20201111110225j:plain

 

昨年の11月6日にはもっと遠いところに、たくさん咲いていました。

長い茎が目立ちます(80〜180cmと)。

f:id:yuusuget:20201111120515j:plain

 

 オクトリカブト

 学名:Aconitum japonicum  subsp. subcuneatum

 分布:東北日本

オクトリカブトはとくに毒性が強いジテルペン系のアルカロイドを含むそうです。 

つくば植物園では薄暗い湿地にひっそり咲いていました。

f:id:yuusuget:20201112123312j:plain

 

花の構造は複雑で、ここに見えている部分は萼。

左下の花の中心に見える黒い部分が雄しべ。不気味なかんじですね。

その上方に蜜があり、マルハナバチが潜り込むそうです。

f:id:yuusuget:20201112175606j:plain

 

今年はもうどの葉もよれよれ。ヤマトリカブトに比べて葉の切れ込みがやや浅い。

f:id:yuusuget:20201112123715j:plain


 もう袋果もたくさんできています。上に尖っている部分が花柱。

f:id:yuusuget:20201112172657j:plain

 むつかしそうで昨年はパスしたトリカブト、暗かったり、遠かったりで良い写真が撮れませんでしたが、とりあえず入門です。

 

 


 

 

 

カツラ・ニッケイ・シナモン

秋の気配に誘われてやはり植物園に行きたくなりました。

まだマスク着用と入館前の体温測定は継続、研修展示館などは閉館していますが、植物たちは泰然と秋を迎えていました。

しかし自粛の影響で歩行能力が落ちたのか以前よりさらに足運びが悪い。

広い園内、杖をつきながら少しづつ見ることにします。

 

カツラ

 桂   カツラ科カツラ属の落葉高木

学名:Cercidiphyllum japonicum

分布:日本、中国

f:id:yuusuget:20201029182042j:plain

 

案内板によると漢字の「桂」はニッケイのようなクスノキ属やモクセイ属の樹木をさし、平安時代にはニッケイメカズラ、カツラをオカズラとよんでいたことから「 桂」の字が当てられたと。和名も「香出(かづ)」に由来するといわれます。

 

昨年11月21日、私はこの植物園でカツラの甘い香りを初体験しました。

   「つくば植物園の紅葉 2019

今年もあの香りをもう一度と思い、園内3箇所のカツラの木を巡りました。

10月18日 、池の東側、岩礫地のカツラ。

 葉はまだ黄変しきらず、落葉はわずか、香りもこれがそうかな?という程度。

f:id:yuusuget:20201027145117j:plain

 

雨後の10月24日、中央広場のカツラ。半ば落葉しています。 

f:id:yuusuget:20201027180746j:plain

 

しかし落ち葉の清掃が行き届いているせいか、香りは微かにという程度でした。

f:id:yuusuget:20201028223256j:plain

 

池に落ちたカツラの葉。

f:id:yuusuget:20201028212839j:plain

 

10月27日、残るは一番奥のブナやイヌブナの林にあるカツラです。

近づくにつれ昨年のキャラメルの匂いがよみがえってきました。

あ〜 この香りと、深呼吸。でもまだ昨年ほどには感じられません。

この香りはカツラの葉に含まれるマルトールという香気成分によるそうです。

マルトールは老化して乾燥した葉の組織が壊れて放出されると考えられています。

但し昨年は11月25日。葉は黄色か褐色で大半は落葉していました。

今年の香りのピークはもう少し後のようです。

f:id:yuusuget:20201028182559j:plain

 

真っ直ぐな幹は柔らかく、家具・仏像・碁盤・将棋盤などにも利用されてきました。

カツラは 雌雄異株。花や実の観察はまた来年の課題にしましょう。

f:id:yuusuget:20201027214755j:plain

 

ニッケイ

 肉桂 クスノキ科ニッケイ属の常緑高木

  学名:Cinnamomum sieboldii

 分布:徳之島・沖縄島・久米島、中国南部、インドシナ半島

中央広場にどっしり構えた大木があります。これがニッケイです。

f:id:yuusuget:20201029001414j:plain

 

樹下のベンチ。周りに落ち葉が積もります。

f:id:yuusuget:20201029013229j:plain

 

根や幹の皮に芳香と香味があり、お菓子や薬(健胃剤や発汗剤)などに利用されてきました。

ニッキ飴、八ツ橋、肉桂餅など現在も造られています。

f:id:yuusuget:20201029003342j:plain

 

 葉は長さ10cmくらいの被針形、革質で光沢があります。

3本の葉脈が美しい。

f:id:yuusuget:20201029005924j:plain

 

落ち葉を拾って嗅いで見ましたが香りは感じられませんでした。

しかし枯れ葉を砕くと確かにニッキの香りがしました。 

f:id:yuusuget:20201029010247j:plain

 

見上げると1cmくらいの緑色の果実が飛び出していました。

これはもう少し熟すと黒くなるようです。 

f:id:yuusuget:20201029013923j:plain


 

セイロンニッケイ    (シナモン)

      錫蘭肉桂   クスノキ科の常緑小高木  

 学名:Cinnamomum verum ( C. zeylanicum )

   原産:インド、マレーシア、セイロン島

 

つくば植物園ではセイロンニッケイも熱帯資源植物温室にありました。

シナモンはこの若い枝の樹皮を乾燥させたものだそうです。

f:id:yuusuget:20201029014357j:plain


すでに 温室の高さを超え、剪定されているようです。

f:id:yuusuget:20201029014711j:plain

 

葉は対生、ニッケイより大きく、狭卵形で光沢があります。

縦に3本の葉脈が入り、観葉植物としても美しい。

残念ながら今は花も実も見られませんでした。

f:id:yuusuget:20201029014914j:plain

 

シナモンはコショウ、グローブと並ぶ三大スパイスの一つとされ、熱帯各地で 栽培されています。

樹皮のまま細長く巻いたものはシナモンスティックとして流通、また粉末状にしたものはシナモンパウダーとしてシリアル・パン・ケーキや料理、コーヒーや紅茶などに使われています。