ハナツリフネソウ
花釣船草 ツリフネソウ科の一年生草本
学名: Impatiens balfourii.
別名:ゲンペイツリフネソウ・ゲンペイツリフネ
原産:ヒマラヤ西部、インド〜パキスタン
高さ:30〜60cm
この花は私が今までゲンペイツリフネソウ(源平釣船草)と呼んでいた花です。
2008〜2009年頃 前の庭で初めて苗を購入し、2〜3年零れ種で咲きましたが以後絶滅。
これは園芸店で購入した時の名ですが、今回改めて調べてみると、日本帰化植物写真図鑑第2巻(2010年発行)に「ハナツリフネソウ」の名で掲載されていました。
昨年偶々苗を見つけて2株購入、今年は零れ種でたくさん咲きました。
花は葉腋から伸びた花茎に数個、順に咲いていきます。
花弁から距の先端までの長さは約4〜5cm。
葉は互性し卵状楕円形、細かい鋸歯があり葉先は尖ります。葉身は長さ10cmくらいまで。
花弁は3枚あるように見えますが、下の大きな側花弁は2枚が融合したものです。
これは雄性期の雌しべと雄しべです。
雌しべは未熟ですが、雄しべはすぐ花粉を出します。
萼片は3個で上に小さな2枚。
下の1個は長さ約3cmの嚢状になり、後方は短い距(きょ)になって蜜を貯めます。
開花後、雄しべから花粉が出始めます。
別の個体で花の下面から雄しべを見ました。
文献には「5本の花糸が合着」と記されています。
送粉を担うのはトラマルハナバチ、雨が降っても花から花へ慌ただしく飛び交います。
大きな花粉玉も付けた働き者もいます。
花はトラマルハナバチが中にすっぽり入り込める大きさです。
その背中に雄しべの花粉がたっぷり付くという花の構造です。
でも美しい花弁はすぐに傷だらけになってしまいます。
雌性期:雌しべが太くなって先端の柱頭が開いています。
雌しべの下にはハナバチを誘導する黄色の蜜標。花弁の傷はハナバチが付けたものです。
しかし、ここには花粉を出していた雄しべが見当たりません。
雄しべはどこへ行ったのでしょう?
ありました!ありました!地面に落ちていました。拾ってお皿に載せて撮影。
花糸は5本あるかな?
さらに興味深いのは蒴果です。(以下は昨秋の画像。)
鞘が膨らんできました。右の鞘に触れてみます。
うあー、びっくり!
瞬時に弾けてしまいました。まだ種子は白っぽい!
蒴果1つの中の種子は2〜5個。ここには黒い種子が2個見えます。
地面には破片が落ちていました。
ようく見ると、種子も少々あるようです。
拾い集めた種子。
昨年 北側の通路の左側に1株うえたハナツリフネソウは零れ種から10株くらい出芽。
歩くのに邪魔なところは南の庭の木陰に移植しました。
花冠は咲いてから3日ほどでひっそり落下するようです。(この1か月毎日のように雨ばかりで、観察が継続できません。)
花殻を除去することもなく、次々咲き、零れ種で咲くまことに手間要らずの花です。
ハナツリフネソウはツリフネソウの色を淡く改良した園芸種だと思い込んでいました。
今回の下調べで1998年北海道札幌市で見出された外来種と知り驚きました。
しかし増えても抜去し易く、種子も少ないので花壇用には重宝しています。
追記:
梅雨明け後、マルハナバチの出入り激しく、花の損傷多大でした。
開花は朝一斉にではなく、準備が整ったものから次々開花します。
1日目 雄性期、2日目 雌性期、3日目落花が多いようでした。