ここへ来て4年目、今までで一番寒かった冬が去りました。
遅まきながら慌ただしく春が進行しています。
やはり春は妖精から、スプリング・エフェメラルのお出ましです。
セツブンソウ
学名:Shibateranthis pinnatifida
分布:関東地方以西の石灰岩地域(日本の特産種)
愛知の庭では鉢植えで育て一旦増えた後次第に減少。
鉢ごと転居しましたが、こちらで地に下ろしたら絶滅しました。
昨年4株を購入しソシンロウバイの根元に、鹿沼土を加えて植え込みました。
厳冬を越え、節分が終わり、2月半ばを過ぎても何も見えません。
ところが2月28日の朝、ソシンロウバイの花殻の近くに何やら白いもの?
ひょっとして セツブンソウ?
3輪開花です! 下の方にも2輪咲きそう!
うれしくて日に何度も覗きこみます。上の方のは葉だけ?
夕方にはもう全開しました。
翌3月1日、紫色の葯から白い花粉が出始めました。
花径約2cm。
拡大します。
白色の萼片5枚。花弁は小さく5〜10枚。Y字状で先端から蜜を分泌。
雄しべの葯は紫色、弾けて白い花粉を出します。雌しべは紫紅色で2〜5本。
3月11日 左の3本はもう花を閉じようとしています。
草丈 約10cm。はかないスプリング エフェメラルの典型です。
ここに種子を落としてこれからも姿を見せてくれますように。
鉢植えのセツブンソウの観察は「はるなつあきふゆ 夕菅の庭」でも
セリバオウレン
分布:本州 四国
3年前、北の通路に植えましたが花が確認できていません。
2020年4月購入した時は花が終わり、実の状態でした。
セリバオウレンは キクバオウレンCoptis japonica var . japonica の変種です。
複葉の形により次のように分類されます。
1回3出複葉 キクバオウレン
2回3出複葉 セリバオウレン
3回3出複葉 コセリバオウレン
果実は矢車のような形の袋果。
先端は開いていて揺らすと種子が落ちるそうです。
翌春は花が見たいと思っていましたが、北側に地植えしたため寒風で葉は枯れて褐色、右下の1枚だけかろうじて暗緑色でした。
2021年3月8日、何と枯葉の間から花茎が立ち上がり花を咲かせました。
拡大して花の構造を見ます。
外側から長い花弁に見えるのが萼片、その内側に小さい白色の花弁、雄しべ、雌しべの順です。
今年はもっと美しく咲いてほしいと思っていましたが、昨冬を越す寒さで全葉枯死状態。
それでも辛うじて花は咲きました。
花が終わったら南の日陰に移植しようと思っています。
オウレン属の植物は根茎や根が黄色だそうです。その時見てみましょう。
2022年3月13日
ミツバノバイカオウレン
分布:本州中部以北の日本海側
昨春ネット販売で他の苗を探している時見つけてつい買ってしまったものです。
葉は寒波で黒っぽくなってしまいましたが、早くも花を見ることができました。
小さな蕾に赤い模様が入って美しい。
葉は3出複葉、花茎は褐色。
近縁種のバイカオウレンは根出葉が5枚、ミツバオウレンは花茎が緑色だそうです。
花の構造はセツブンソウと同じです。
花弁のように見えるのは萼片、蜜を分泌する小さな黄色の花弁が5〜6枚。
多数の白い雄しべと緑色の雌しべ。
花期は5〜8月と。山岳地帯では雪解けしてから咲くのでしょうね。
次々と開花。
3月14日 小雨の中、葉に緑が戻り、花も輝いていました。
分布:北海道、本州、四国(日本固有種)
日本には次の4種のフクジュソウが自生しているそうです。
学名:Adonis ramosa 茎は中実。萼片が紫色を帯びる。
1茎多花。葉裏に殆ど毛が無い。茎は中実。
2)ミチノクフクジュソウ(東北から九州)
茎は分枝。 茎は中空。萼片は花弁の2/3の長さで緑色〜黒緑色。
3)キタミフクジュソウ(北海道東部)
1茎1輪、茎が中実・多毛。萼片は花弁より長いかほぼ等しい。
4)シコクフクジュソウ(四国・九州の一部)
茎は中空、全草無毛。
我が家のフクジュソウは4回目の開花です。
今まで流通種だからフクジュカイでしょうと思っていましたが、花数も多くなったので1茎切って確認することにしました。
フクジュカイ 福寿海
フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)とミチノクフクジュソウとの園芸品種。
最近市販されているのはこれが多いそうです。
つくば植物園の名札も「フクジュソウ」ではなく「フクジュカイ」でした。
我が家のは「フクジュソウ」という名札で園芸店で販売されていた株です。
茎が分枝して2輪咲いているものもあります。
1輪切り取りました。茎は中空ではなく中実です。
萼片は黒色を帯びた緑色で花弁の約3分の2の長さ。
葉裏にはほとんど毛はありません。
総合すると1)フクジュソウに近いようですが、萼片の色は紫色がかってはいません。
江戸時代には後期には多数の園芸品種が作られたそうです。
フクジュカイは八重咲きの大輪花で花色が濃く、強健な品種として普及したのでしょう。