巨大水車とハス(藕糸蓮)

巨大水車

つくばには「みずほの村市場」という有名な農産物の直売所があります(1990年設立)。

ここには毎日地元の新鮮な野菜や果物などが並び、奥には園芸センターもあり、花や野菜の苗・鉢物・生花まで揃っていて、高齢になってから転居した私には誠にありがたいお店です。

さらに隣には「蕎舎」さんがあってこだわりの「常陸秋そば」がいただけるのです。

建物は150年前の農家を移築したという古民家、土間には竈(かまど)もあります。

ここ3年、コロナ禍のためお蕎麦が躊躇われるのが残念です。

 

建物の西側に直径7mの巨大水車があります (2022年4月14日)。

 

20年間、回り続け老いて苔蒸した水車ですがまだ現役でした(2021年9月)。

一回分の精米に48時間かかるそうです。

 

どこも古色蒼然! ゆっくり回っています。

 

今春はますます苔蒸していました(2022年4月14日 室内から撮影)。

店主はこの水車を再建すべきか否か悩まれたようですが、これを後世に遺す義務を感じ、リニューアルプロジェクトを立ち上げられました。

4月26日 解体工事開始。

こんな大きな木製水車を造れる職人さんはもう全国に数人しかないそうです。

 

総工費約800万円、クラウドファンディングで一部を補い、2か月後再建されました。

7月29日、すでに新しい水車がゆっくり回転していました。

右下は撤去した旧機の中心部です。

 

「藕糸蓮(ぐうしれん)」

   蓮 ハス科ハス属 の多年生水生生物

 学名:Nelumbo  nucifera

 

蕎舎さんの南側には毎夏ハスの花が開きます。

その向こうはひまわり畑。ここはひまわり迷路が楽しめるところです。

 

このハスは茨城県の蓮根農家 八島八郎氏が品種の改良を行い、藕糸蓮と命名された希少種だそうです。

 

藕糸蓮は花付きがよい八重の品種です。蓮根は採れません。

現存するハスは100品種くらいあるそうです。

2000年前の泥炭層から発掘された種子から芽生えて花開いた「大賀蓮」は一重です。

 

藕糸蓮の花は濃いめのピンク色。開花は7〜9月。

 

蕾の頃。

 

咲き始め。

 

花弁は100枚以上、小さい花弁は雄しべが弁化したものだそうです。

 

花弁がするりと落ちました。

 

藕糸織(ぐうしおり)

藕糸蓮の茎からは繊細な繊維が少量採取でき、これで織った織物を藕糸織といいます。

しかしこの繊維は蜘蛛の糸のように繊細で、製糸には複雑な手間がかかり、ミャンマーの藕糸織では10mの布を織るのにハスの茎が1〜2万本要るといわれます。

こうして出来上がった布は意外にも軽やかではなく、むしろ地厚の布で、飾りを付けて仏像にかけたり、僧の袈裟にされるのだそうです。

 

平成13愛子内親王のご誕生を祝い、土浦市八島農園の花蓮から300人のボランティアが蓮糸を取り出して織り、ゴヨウツツジの御紋を入れた藕糸織の袱紗に仕立てて献上されました。

 

碧筒杯(象鼻杯)

またここでは2009年から「碧筒杯」といって、この蓮の葉に酒を注ぎ茎を通してそれを飲む催しがありましたが、最近は行われていないようです。

碧筒杯は象鼻杯、蓮葉酒とも言われ、ハスの葉の茎と繋がる部分に穴を開けて飲み物を流し、漏斗状にして長い茎の下端から飲む遊びです。