学名:Lycoris radiata
原産地:中国
分布:北海道や東北地方を除く日本全土
9月15日、久しぶりに行った植物園は早くも秋の気配が漂っていました。
池の中央のつくばね橋を渡ります。
橋を左に曲がると池のほとりのヒガンバナがちらほら咲き始めていました。
苞に包まれた蕾をもつ花茎が20〜60cm伸び出し、苞が破れると直径10〜15cmの花が数個、外向きに並んで開花します。
6日後の9月21日、再訪。
橋の上から左を見るとあずまやの下が赤く染まっていました。
ヒガンバナは貫禄が出てきたあずまやとよく合います。
古くから日本にあったような景色ですが、ヒガンバナは古い時代の日本には無く、救荒植物とか、糊の原料として中国から持ち込まれたという説があります。
この花茎からは10個くらいの花が種小名radiata の「放射状」の意味のように球形に開花。
細長い花被片6枚は大きく反り返り、雄しべ6本・雌しべ1本が長く突出しています。
やはりヒガンバナには何か妖しい美しさがあります。
今年はヒガンバナの名の如くお彼岸に満開になります。
日本のヒガンバナは3倍体のため種子が実らず、鱗茎で増えるので全て同じ形態です。
この植物園のヒガンバナは池のほとりに増えています。
子供の頃住んでいた東濃地方ではヒガンバナは畔道の花、庭に植えてはいけないと言われていました。
球根に毒性があるから誤って食べないようにという配慮だったのでしょうか。
しかし水に晒せば毒性が失われることがわかり、飢饉の時は助けになったようです。
にわかにその花の間を乱舞する2つの黒い影!
動きが早くて上手く撮れない。
ジャコウアゲハですね!
この園には「コヒガンバナ」もありますが、確認が遅れて今年は花期を逸しました。
コヒガンバナは中国に自生する2倍体のヒガンバナで種子ができます。
ヒガンバナより早咲きで花はやや小型といわれます。
種子ができるかどうか、今後の経過を見たいと思っています。
シロバナマンジュシャゲ
学名:Lycoris x albiflora
分布:日本全土、済州島、中国
ヒガンバナとショウキズイセン(花は黄色)の自然交雑種といわれます。
園の西側通路沿いにはシロバナマンジュシャゲが植栽されています。
ここはよく通る道ですから葉の観察も容易です。
2021年10月4日 元気な葉が育っていました。さらに茂って冬を越し葉は5月頃消えます。
2022年9月15日 次々と開花中でした。まだ顔を出したばかりの蕾もあります。
花の咲き方はヒガンバナと同じです。
雌しべの先(柱頭)が紅い花もありました。
昨秋、花後を観察しました。
もしかして種子ができるかもと思ったのですが、やはり不稔でした。
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ハナシュクシャ
学名:Hedychium coronarium
英名:ginger lily → ジンジャーリリー
分布:インド~マレーシア熱帯地域
日本には江戸時代に導入。
良い香りに誘われて近づくと高さ1〜1.5mのショウガに似た葉が茂り、白い蝶のような花が咲いていました。
偽茎の先に穂状花序が出ます。
ジンジャー科の花の構造はとても難しい。
(以下、素人の記載ですから誤りがあるかもしれません。その際はどうぞお教えいただけますようお願いします。)
外側の細長い裂片が花冠、花弁のように見えるのが弁化した仮雄しべ。
この大きな唇弁(長さ・幅とも約6cm)が弁化した仮雄しべとは驚きました。
中央から飛び出しているのは1本だけ稔性がある雄しべ。
雌しべは筒状の雄しべの中を通り、葯の先端から緑色の柱頭が突出しています。
良い香りと花の美しさに魅せられてしばらく動けません。
下は雄しべの葯が開いて花粉が出ているところです。
この花はキューバやニカラグアでは原産国ではないのに国花になっています。
香料の原料として栽培もされるようです。
隣に淡いオレンジ色の花が咲いていました。
名札を探しましたが見つかりません。ハナシュクシャの園芸種でしょうか。
同じような色の花がニクイロシュクシャと呼ばれていることもあるようですが、気の毒な命名に思えます。
花の構造はハナシュクシャと同じです。
1茎に咲く花の数が白花のハナシュクシャより多く、草丈も高く丈夫そうです。
ベニバナシュクシャ や キバナシュクシャもありますが、この色はサーモンピンクに近いかと思います。
繁殖は根茎によりますが、稀に種子ができることもあるようです。
また通る時覗いてみましょう。
この花も調べてみると難しく、また更新が遅れました。