つくば植物園では毎年クレマチス園が公開されます(今年は4月27日〜6月2日)。
ここでは早咲きから遅咲きまで、古典的な花から新しい花まで300種ものクレマチスが育成されています。
今日はここの展示パネルからスタート、「クレマチス入門」としましょう。
クレマチス Clematis とは?
クレマチスはキンポウゲ科センニンソウ属(Clematis)の総称です。
木性のつる植物か、まれに低木または多年草。
キンポウゲ科の中では熱帯地域に分布する少数の属のひとつです。
クレマチスは北半球の温帯地域に約300種、日本には30数種類が分布、さらに数千にも及ぶ園芸品種が作り出されています。
風車 Clematis patens
分布:本州・四国・九州北部・朝鮮半島・中国
日本の貴重なクレマチスの原種です。
カザグルマの栽培は17世紀前半に始まり、1829年シーボルトによってヨーロッパに紹介され、多くの園芸品種の交配親となりました。
これが野生種とは信じられないような大きな美しい花を咲かせます。
花弁はなく萼片4〜8枚が花弁状になって一重の花をつけます。
直径7〜12cm。花の色は白・紅・紫・ピンクなど種々。
葉は十字対生・ふつう3出複葉または羽状複葉。
果実は痩果で、毛を密集して羽毛状になります。
準絶滅危惧種に指定されていますが、今なお日本各地に特徴があるカザグルマが残存し、当園にも30種以上保存されています。
(土岐のカザグルマー白花・広島のカザグルマ・淡青色など多種多様。)
ここではたくさんのクレマチスを系統別に展示しています。
パテンス(Pat)系
日本に自生するカザグルマの特徴を受け継いだ早咲き・一季咲き大輪の系統です。
源氏車 (日本の名花・昭和の品種)。
ラヌギノーサ( Lan)系
花は大輪でパテンス系に似るが花期がが長く多数の園芸品種があります。
藤娘(日本の名花)
ジャックマニー(Jac)系
英国のジャックマン氏が作出したジャックマニーを元にした系統。
ハーグレイハイブリッド
ワルシャフスカ・ニキ
テッセン Clematis florida
中国中部原産 1661〜1671年頃(桃山時代)渡来。
茎は蔓性で木質になります。
花は白色、萼片6枚が花弁状になっています。雄しべが弁化。
フロリダ系(Flo)
テッセンから作出された系統。八重咲きが多い。
レディ・キョウコ 21世紀リリースの新しい品種。
インテグリフォリア(Int)系
原種は東欧アジアから西アジアに分布。
クレマチス籠口 (日本の名花)
テクセンシス(Tex)系
和名:紅花半鐘蔓 テキサス州〜メキシコ原産
チェリー・リップ
プリンセス・ダイアナ (愛知で育てていました。)
プリンセス・ケイト (21世紀リリース)
ウイテイケラ(Vit)系
アルバ・ラグジュリアンス
地中海沿岸から中近東に分布するウイテイケラから作出。遅咲き・中輪。
モンタナ系(Mon)系
ヒマラヤから中国西部の山中に分布。多花性早咲き(4〜5月)。
高温多湿に弱いため、愛知では枯らしました。
その他 ヴイオルナ(Vio)系・アトラゲネ( Atr)系など。
半蔓性クレマチス
アラベラ
下記の野生種のクレマチスも周辺に育てられています。
センニンソウ Clematis terniflora
ハンショウヅル Clematis Japonica
クサボタン Clematis stans
一方、テントの下には21世紀リリースの新しい品種の植木鉢が並んでいました。
まだまだ多様な園芸品種が作出されることでしょう。
つくば植物園のクレマチス展については下記のYou Tubeでも見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=D1tUdELQSFU&list=PL38SvBUmO1PeOFHlbPKOMuiE0ZKG68J1x&index=1