アゼトウガラシ科ツルウリクサ属の一年草
学名:Torenia fournieri
原産:インドシナ半島
別名:ハナウリクサ・ナツスミレ
酷暑にも負けず、レイズドベッドのトレニアが元気に咲き続けています。
これは昔からある青紫色、安くて丈夫、長持ちするトレニアです。
赤紫色と白色。
トレニアの花は面白い構造をしています。
筒状の花冠の上部中央にあるリング状のものが雄しべ。2組4個の白い葯が見えます。
その下に半開の雌しべ。
上の雄しべから花粉が出始めていますが、雄しべはもうひと組あるはずです。
中央の白い雌しべの下に見えています。
雌しべは触れると閉じます。
上の雄しべは花粉を出してからリングを解いて左右に直立。
柱頭の左奥にもう一組の雄しべが見えます。
花は次々咲きますが、この暑さの中、訪れる昆虫がいるのでしょうか?
それが、いたのです! ホシホウジャクでした。
花から花へ休む暇なく飛び回っていました。
夕方になると雄しべ雌しべはよれよれです。
さてこの花粉はどのようにして花粉管を出して胚珠に到達し受精するのでしょう。
実はこの疑問は2009年愛知にいた頃取り組んだ課題でした。
この年私は庭のユウスゲの花に人工授粉をしながら、その花粉からどのように花粉管が伸びて卵細胞に達するのか、知りたく思っていました。
受粉が成功するとすぐ子房が膨らんできますから花粉管の伸長はかなり早いはずです。
検索してみると1869年から「花粉管を胚珠に誘う物質は何か」と世界中で探求され、2001年名古屋大学の東山哲也教授がトレニアを用いて「胚珠にあって花粉管を誘う蛋白質の同定に成功」され、「Nature」2009年3月19日号に掲載されたことを知りました。
当時日々顕微鏡を使う仕事をしていた私は試しに花粉を付けたトレニアを顕微鏡で覗いてみました。
すると驚いたことに伸びていく花粉管も卵装置も比較的容易に見ることができ感激しました。
この間のことはブログ「夕菅の庭」に記載しました。
トレニアの不思議(2)
翌2010年 トレニアの花を見るうちにもう少しきれいな写真が撮れないかと再挑戦しました。
それから早くも14年が過ぎ、私は82才になりました。
この間 脊椎の大手術を受け、6年前茨城県つくば市に転居しました。
顕微鏡は持ってきたものの、再設定には術後の姿勢や装置の再設定に問題があり、使うことなく終わりそうです。
左奥からトレニア(ピンク)、スーパートレニア カタリーナ(ブルーリバー)、スーパートレニア カタリーナ(アイスリバー)、トレニア(白)(ピンク)。