今年の春は超特急!
厳冬が開けると例年の桜前線はどこへやら、東も西も無視して我先にと開花したようです。
サクラは前のブログに「木曽川堤の桜」 を載せましたが、木曽川では見られなかったサクラがつくば植物園ではいろいろ見られます。
しかし広い園内、2019年はどこに咲いているか探せないうちに花は散ってしまいました。
さらに昨春は休園、今回は2019年分も併せて画像を並べます。
しかし、いざ書こうとするとサクラについての知識が全く足りないことが判明。
調べつつ、わかったことを備忘録として載せます。
最近各地で咲いていますが、1974年カワヅザクラと命名された新しい品種です。
(私の参考書「朝日百科 植物の世界 1997年発行」には掲載されていません。)
つくば植物園のサクラは正門前のこのカワヅザクラから始まります(2021.2.25.)。
サクラとしてはやや濃いピンクで遠くからは紅梅?と思うほどです。
花期が2月頃と早いため花粉を運ぶ昆虫は期待できそうにありませんが、早咲き品種として需要が多く、接木などで増殖されているようです。樹高 〜10m。
オオシマザクラ(大島桜)
バラ科サクラ属の落葉高木 日本固有種
学名:Cerasus speciosa
分布:房総・伊豆諸島
今年一番見たかったサクラです。
大型の白い花が葉の展開と同時に咲くのが特徴。
白い花は直径4cmほどになり、萼筒もほっそりして気品があります(2021.3.31.)。
大らかで美しい花。よく見ると花糸の色がいろいろ。
葉柄や花柄には毛がなく、葉柄上部に赤い蜜腺が見えます。
葉も大きく、桜餅を包むのに用いられています。
その芳香は生の葉にはなく、塩蔵中に生ずるクマリンの配糖体に由来するそうです。
樹高20mを超える大木になり、樹形は傘状。
大木は花が見難いのですが、池畔では枝が低く伸びて見易い。
樹皮は紫褐色で光沢があり、短い横筋が見えます。
オオシマザクラを母とする栽培品種はサトザクラ群といわれ、カンザン、フゲンゾウなど数多の品種があります。
学名:Cerasus yedoensis
ソメイヨシノは江戸時代後期に染井村(江戸駒込)で誕生し、以後接木・挿木により全国に広まったといわれています。
1916年米国の植物学者ウィルソンはソメイヨシノはエドヒガン(♀)とオオシマザクラ(♂)の雑種であろうとする説を発表、後に国立遺伝学研究所の故 竹中要博士はこれら両種の交雑実験を行い、ソメイヨシノとほぼ同じものをつくることに成功されたそうです。
1995年遺伝子研究の結果、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種が交雑してできた単一の樹を始源とする栽培品種のクローンと判明。
つくば植物園も入り口近くにソメイヨシノが植えられていて、駐車場からも見えます。
蕾では母であるエドヒガンの特徴「壺型の萼筒」の名残りがよくわかります。
(ソメイヨシノはオオシマザクラが母ではなく父なので、サトザクラには含まれません。)
アマギヨシノザクラ(天城吉野桜)
このアマギヨシノザクラも「ソメイヨシノ系の園芸品種」です。
大木だったはずですが、上部は欠損し痛々しく咲いていました(2019.4.5.撮影)。
咲きはじめはソメイヨシノより白っぽく、、花と同時に若葉が開いています(20190405)。
咲き進むとおしべが 赤くなるのはオオシマザクラと同じ。
ウスゲヤマザクラ(薄毛山桜)
バラ科サクラ属の落葉高木
分布:本州(宮城・新潟以南)、韓国(済州島)
花と葉が同時に開いて賑やかでした。
ヤマザクラかと思いましたが、標示はウスゲヤマザクラ(2019.4.14.)。
葉柄や小花柄にうっすら毛があるようです(次回接写予定)。
マメザクラ(豆桜)
学名:Cerasus incisa 日本固有種
目立たないところにひっそりと咲いているサクラを見つけました。
花が遠くて小さく、接写できないのが残念です(2021.3.25.)。
樹高も低く寒さにはたいへん強く、富士山付近に多いそうです。
比較的早咲きで葉とほぼ同時に開花。
「サクラ日本固有種」
以下の11種(もしくはカンヒガンザクラを除く10種)
ヤマザクラ・オオヤマザクラ・カスミザクラ・オオシマザクラ・エドヒガン・チョウジザクラ・マメザクラ・タカネザクラ・ミヤマザクラ・クマノザクラ・カンヒガンザクラ
サクラをタイミングよく撮るのはなかなかたいへんです。
残りはまた次の機会に。