今日は本吉 總男 先生のコラム「みずき野とその周辺の植物と昆虫」をご紹介します。
このコラムの今回からのテーマはNHKの大河ドラマに因んで「源氏物語の植物たち」。
本吉 總男 先生は私の前のブログ「はるなつあきふゆ夕菅の庭」の2010.9.18.「トレニアの不思議」にコメントを頂いたのがご縁で、以来私の素人ブログをコメントでご指導いただいた植物学者さんです。
先生は岡山大学定年退職後、茨城県守谷市に戻られ、ブログ「マイ・ボタニカル・ノート」に加えて2014年5月から「みずき野の PC版町内会ホームページ」に「みずき野とその周辺の植物と昆虫」を掲載されています。
http://www.mizukino-chonaikai.org/Mizukino-no-Shizen-to-Konchu.html
今回はその75回、タイトルは「源氏物語の植物たち(1 )」です。
先生は岩波文庫で原文の「源氏物語」を再読しながらこれを書いていらっしゃいます。
幼い頃から親しまれた「昆虫」とご専門の植物だけではなく、古典文学や絵画にも造詣が深く私はいつも感心するばかりです。
このコラムをみずき野の方々だけではなく、もっと多くの方にお読みいただけるよう、お許しを得てご紹介させていただきます。
源氏物語の植物たち(1 )には キリ・ハギ・アオイ・フジ・ナデシコ・セミの抜け殻・オギ・ユウガオが登場しています。
残念ながら私は「源氏物語」も未読、植物にも精通していませんが、今回は撮りためた画像の中から関連するものを並べてみました。
キ リ
桐 キリ科(←ゴマノハゾク科、←ノウゼンカズラ科)キリ属の落葉高木
学名:Paulownia tomentosa
キリは日本では家紋にも用いられ身近に見られる植物ですが、日本原産ではなく中国原産と推定されています。
成長が早く樹高15mにもなり、俯いて咲くため写真が撮り難い花でした。
薄紫色の花が密集(つくばの家の近くで4月末〜5月初めに撮影し拡大)。
路上に落ちた花殻も美しく心に残りました。花冠長さ約5cm。
20〜30cmにもなる大きな葉が対生。
ハギ
秋の七草にも登場して親しまれてきた「ハギ」ですが、ハギという種はなく、マメ科ハギ属約40種の低木あるいは多年生草本の総称として用いられています。
ヤマハギ
山萩 マメ科ハギ属の落葉低木
学名:Lespedeza bicolor
分布:北海道から九州まで・朝鮮半島・中国北部・シベリア南東部
シラハギ
栽培品種
学名:Lespedeza japonica(諸説あり)
愛知では大きくなりすぎるヤマハギを抜去し、シラハギだけ残しましたが、それでも毎年剪定に難儀しました。
この他日本にはマルバハギ・ツクシハギ・ニシキハギなどがあります。
アオイ
葵は源氏物語では光源氏の正妻ですが、華やかなアオイ科の植物ではなく、ウマノスズクサ科のフタバアオイに因む名だそうです。
学名:Asarum caulescens
分布:東北地方南部〜九州、中国甘粛省から四川西部
徳川家の紋章はフタバアオイの葉を3枚組み合わせたもの。
残念ながらフタバアオイの画像はないので、私の庭のカンアオイを載せます。
フタバアオイは輝くような緑色の柔らかい葉です。
詳しくは本吉先生の「源氏物語の植物たち(1 )」に紹介されたPDFをご参照ください。
学名: Asarum nipponicum
分布: 関東南部〜近畿地方の太平洋側
つくばの庭に植えたカンアオイはよく育って、今春は花も確認できました。
フ ジ
藤 マメ科落葉高木
学名:Wisteria floribunda
分布:本州・四国・九州(日本固有種)
つくば植物園つくばね橋から見たフジ。
つくば植物園日本庭園のフジ。
学名:Dianthus superbus var.longicalycinus
分布:本州〜九州・朝鮮半島・中国・台湾
愛知の庭のカワラナデシコが最も美しかった頃。
大好きなナデシコでしたが、つくばの庭では宿根せず諦めました。
空蝉(ウツセミ)
空蝉とはセミの抜け殻のことだそうですが、この名はお気の毒ですね。
愛知でたくさん見られたアブラゼミの抜け殻。
ユウガオ
夕顔 ウリ科ヒョウタン属の蔓性1年草
学名:Lagenaria siceraria
私はユウガオという花は見たことがありません。
調べてみると「ヨルガオ」学名:Ipomoea alba もあってこちらはアサガオやヒルガオと共にヒルガオ科。
朝日百科植物の世界2-296には朝顔市で「夕顔」の名で売られているのはヨルガオと。
ネット検索して夕顔の種子を取り寄せてみました。
すると袋の花の写真は朝日百科のヨルガオにそっくりでした。
ウリ科のユウガオには「マルユウガオ」と「ナガユウガオ」があり、栃木県などで干瓢の原料として栽培されましたが、近年は中国などから輸入されているようです。
「ユウガオ」の種子、来春種まきしてみましょう。