つくば植物園 5月の花木(イジュなど)

つくば植物園のパンフレット「温室のみごろ植物」で紹介されていた「イジュ」、昨春はどこにあるのかわからず見逃しました。

今年こそはと予め位置を検索。

そこは熱帯雨林温室、屋外の怖い階段を登ってやっと会うことができました。

2株の大木に白い花がたっぷり、優しい芳香に包まれた大空間でした。

 

イジュ(ヒメツバキ)

ツバキ科ヒメツバキ属の常緑高木

学名:Schima wallichii(植物分類表,wikipedia,朝日百科植物の世界)

   Schima noronhae (つくば植物園)

原産地:小笠原諸島奄美以南の琉球列島、東ヒマラヤから東南アジア。

和名:沖縄ではイジュ、小笠原ではヒメツバキ。 

 

葉は互性、両面無毛、披針形が多い。

花は直径4〜5cm、花弁は5〜6枚。おしべ多数・めしべ1本。

球形の蕾が面白い。

 

何とかわいい花だろうとしばしうっとり眺めました。

 

後で調べると、小笠原と沖縄では葉の鋸歯や厚みなどに差があり、同一種とするか、

固有亜種とするかなど問題があるようです。

また実が熟す頃見に行きましょう。

 

アメリシャクナゲ (カルミア・ラティフォリア)

  ツツジ科ハナガサシャクナゲ属の常緑低木

学名:Kalmia latifolia

原産:北アメリカ東部

花期:5〜6月

この花は 東京都がアメリカへ贈ったサクラの返礼として、昭和4年に日本に渡来。

属名の Kalmia はリンネの弟子で北米の植物の研究をしたカルム(P. Kalm)に因みます。

ここは駐車場の西側の植え込み、セイヨウシナノキなどの下です。

入園前にゆっくり鑑賞できます。

 

披針形で光沢があり、互生。

花は枝先の集散花序につきつぼみは金平糖のようでかわいい。

 

花の色は淡紅または白。直径約2cm、花弁5枚。

 

次々と開花。これはやや紅色が濃い株です。

 

ほぼ満開。こちらは白っぽい花。

 

最近はもっと紅色の濃い品種が多く販売されていますが、私はこの淡い色が好きです。

 

 10月 丸い蒴果になります(2021.10.18.)。

葉はグラヤノトキシンを含み有毒、とくにが中毒し易いそうです。

 

シャリンバイ

車輪梅、バラ科シャリンバイ属の常緑低木(高さ1〜4m)。
学名Rhaphiolepis indica var. umbellata
分布:日本(宮城・山形県以南)、朝鮮、台湾、中国、フィリピン、ボルネオ島
シャリンバイは庭園木としてよく植えられていますが、こんな大きな木は初めて見ました。

 

新芽が展開し終える頃、花が咲き出します。

花と若い葉と紅葉した古い葉が賑やかです。

 

シャリンバイの名のごとく、葉は車輪状に互生、花はウメに似ています。

楕円形の葉は革質で光沢があります。

花は5弁の両性花、うっすら淡紅色でした。

咲き始めの花は黄色の葯が目立ち、花粉が出終わる頃には花糸が紅くなります。

 

秋には黒紫色の実がたくさん実り、通路一面に落下していました(2020.12.1.)。

 

このシャリンバイが「大島紬」(鹿児島県奄美大島の伝統工芸品)の染料になることを初めて知りました。

シャリンバイの木から葉を取り除いて細かく切り、煮出した液を染料として絹糸を染めるのだそうです。

 

ヤマボウシ

山法師  ミズキ科ミズキ属の落葉高木
学名:Corhus kousa
分布:北海道を除く日本各地、朝鮮半島、中国、台湾。

この季節はヤマボウシも満開、大木は見応えがあります。

 

大木の花は見上げるばかりで写真も撮れないことが多いのですが、この木は低い枝が剪定されず、枝垂れて観察し易いように残されています。

 

ヤマボウシの花の構造を見るのはなかなか難しいのです。

葉脈の目立つ卵形の葉が対生に並んでいます。

4枚の白い花弁に見えるのは萼でもなく総苞片。

この日はiPhoneだけでしたから接写は諦めました。

 

参考のため愛知の庭で撮った画像を添えます(2014.5.19.)。

総苞片の中央に淡黄緑色の小花約30個が球状に配列。

 

それぞれの小花には萼片・花弁・雄しべが4個、雌しべ1本。

 


ピットスポルム ヘテロフィルム
姫海桐 トベラトベラ属の常緑低木

学名:Pittosporum heterophyllum 

分布:中国西部

 

温室の北側に良い香りが漂い、黄色い花が満開になっていました。

今まで見たことがない花、名札を探すと難しい学名!

でも確かにトベラに似た葉です。ヒメトベラなら覚えられそうです。

 

咲き始めは白っぽく、次第に黄色になるようです。

 

花の構造もシンプルで5弁花、雄しべ5本雌しべ1本。

 

右下の花は花弁が落ちて子房が大きくなっています。

果実は蒴果、秋には裂けて赤い種子が見えるそうです。

 

黄色の花の間に輝くような青色が光ります。

アオスジアゲハが4〜5頭、飛び交っていました。

辛うじて1枚撮れました。

トベラの葉は覚えがあるのですが、花は見たことがありません。

葉や花はもっと大きくて雌雄異株だそうです。いつか比較したいものです。