蘭展 つくば植物園2021

今秋 つくば植物園で「つくば蘭展」が開催されました。

ランはやはり高嶺の花、ランがわからん者の「ラン学事始め」です。

 

1)「つくばコレクション」

10月31日(日)から11月7日(日)まで筑波実験植物園(通称:つくば植物園)が保全する3000種以上の世界の野生ランの中から、美しい花、珍しい花など約200種類のランが多目的温室で公開されました。

初日にはつくば植物園の遊川知久先生の講演「シラン?ワカラン?ランの七不思議」がありましたが、この日は人も車もいっぱい、高齢者は遠慮しました。

ところが展覧会が終わってからYou Tubeで講演が公開されていることに気づき視聴しました。

「シラン?ワカラン?ランの七不思議」

初めに予習してから行けばよかったのに残念でした!

高温多湿の温室内で人を避けて写真を撮るのはむつかしく、画像がよくありませんが、今年の記録として遅まきながら少しだけ報告します。

 

ディモルフォルキス・ベッカリー

ニューギニア島低地の灼熱の環境で育つ奇妙なラン。

現地では花茎5〜7m、葉の長さ1.5mにもなるそうです。

つくば植物園で10年以上育て、3年前に初めて開花したという貴重な花です。

茎は枯れずに同じ茎に3年目の花を付けています(ランとしては珍しい)。

DNA鑑定からフウランに近いランだとわかったそうです。

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パフィオペディルム ミクラントウム

中国南部とベトナム北部の国境地帯に自生。

見事な造形美! クマガイソウやアツモリソウに似ていますね。

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パフィオペディルム スピケリアヌム

原産地:中国(雲南省)〜ブータンの山地

なんとひょうきんな花でしょう!

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あっ!昆虫が入りました。翅が見えています。

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デンドロビウム・カスバートソニー

原産地ニューギニア島

クリーム色に赤褐色の一刷毛、もこもこした葉が珍しい。

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デンドロビウム・ラエビフォリウム

原産地:ニューギニアソロモン諸島など

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コリバス ピクタス

原産地:オーストラリア、ニューギニア

キノコに擬態し、キノコバエが産卵に来て受粉に関わっているという珍しいラン。

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マスデバリア・コッキネア

主にアンデス山脈の雲霧林に生育。

萼片だけが大きく発達してこんな面白い形になったそうです。

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2)ラン愛好団体の作品

アカバナナが咲く大温室に県内の協力団体のラン愛好者の力作が熱帯植物を背に並んでいました(つくば洋蘭会・らん友会龍ケ崎水戸市植物公園蘭科協会)。

初めは「ランの女王」とよばれるカトレアのいろいろ。

そのカトレアの命名には意外なドラマがあったことを知りました。

1818年、イギリスの園芸家カトリーはブラジルから届いた資料の梱包に使われていた肉厚の丈夫な葉をもつ植物に興味を持ち、育てたところ見たこともない華麗な花が咲き、カトリーの名を冠したカトレア属が設けられたのだそうです(朝日百科植物の世界9-203)。

カトレア・ラビアタ

 自生地:ブラジル西北部アマゾン川河口の南側

 長楕円形で肉厚の葉を1枚だけ付け、直径13〜15cmの桃紫色の花を咲かせます。

カトレア・マキシマ 

 自生地:南米ペルーからエクアドル

最近のカトレアの主流。カトレアの中でも最も大型で豪華。

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右端はグアリアンセ・ボーリンギアナ ↓ 。

たくさん花が咲く性質を活かして カトレア・ラビアータとの交配種が多数作られているそうです。

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次はデンドロビウム、でも昔育てたのとはかなり異なりそれぞれ個性的です。

デンドロビウム・キャンディ・ストライプ

      交配種

        優しいストライプに惹かれました。

       

(参考)ランの花の基本構造は6枚の花被片です。

    うち花弁は3枚で2枚の側花弁と中央の唇弁(リップ)。

    そして萼片が3枚。

    中央は雌しべ・雄しべが合体した蕊柱(ズイチュウ)。

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デンドロビウム グリーン ミスト

 交配種

 唇弁にだけ血管のような模様がありますね。

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デンドロビウム ブラマ ツイスト

唇弁以外の花被片が延びて螺旋状に撒いているようです。

「3年目でやっと咲きました」とコメント欄に書かれていました。

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バンダ・コエルレア Vanda coerulea
ヒスイラン属 和名:ヒスイラン 翡翠蘭(命名 牧野富太郎博士)

原生地:インド カシア高地 

ランには珍しく淡青色の地に青紫色の網目模様が入る花です。

「coerule」は「暗青色」の意。

日本には明治30年に渡来。

遊川先生のお話では大正天皇即位式のために和名を付け、新宿御苑に飾られたそうです。

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ハベナリア レグ二エリ

交配種 Habenaria carnea x Habenaria rhodocheila

ランには珍しいサーモンピンクの花です。見事な大株!

サギソウに近い種と。

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エピデンドラム・エブルネウム

原産地:パナマコスタリカ 

白く大きな唇弁と5枚のプロペラ状の花弁・萼片との組み合わせが美しい。

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デンドロキラム・ウェンゼリー

フィリピンの熱帯多雨林で樹幹に着生。

細い葉と穂状の花。ランとは思えぬ姿です。

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ラン科は被子植物の中で最も多様性に富む科です(約800属2万種)。

つくば植物園は「世界の主要なラン保全施設」に日本から唯一選定されているそうです。

今回は「日本固有の希少種」のパネル展示もありました。

この植物園の屋外ではキンラン・クマガイソウ・フウラン・サギソウなども見られます。

私の庭にもシュンラン・シラン・エビネネジバナなどが少しだけ植えてあります。

(前のブログではシュンランシランの花粉塊や種子 を観察を記載しました)

遅すぎの感もありますが、これからもラン科植物を楽しませていただこうと思います。

 

追加 2021.11.30.

まだ 「シラン?ワカラン?ランの七不思議」 のYou Tubeが見られるようです。

ここに追加しますので是非ご覧ください。

 

www.youtube.com