サラシナショウマ

 

サラシナショウマ

  晒菜升麻  キンポウゲ科サラシナショウマ属の多年草

   学名:Cimicifuga simplex 

   分布:日本・中国・朝鮮・サハリン〜東シベリア

   花期:8〜10月

   和名は若菜を水に晒して食べたことに由来。

 

サラシナショウマを初めて見たのは六甲高山植物園でした(2009.9.20.)。

明るい草原帯でおおらかに伸びた白い穂が揺れていました。

下の方の円いのはルリタマアザミ。

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 2年前の10月24日、初めて訪れたつくば植物園にサラシナショウマが満開でした。

しかし、六甲高山植物園で見た花とはかなり異なる印象を受けました。

生育環境(草原と林床)・花期・カメラの位置、それぞれ違っていたからでしょう。

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つくばでは大木の下でも朝日はよく当たる明るい日陰に植えられていました。

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 それからまる2年目の今年10月24日。

つくば植物園のサラシナショウマは2年前に比べてやや野性的に見えました。 

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直径1cm弱の小さな花が円柱状に並んでいます。右は蕾。

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蕾は淡いピンク色の4〜5枚の萼片 で包まれれています。                                                                         f:id:yuusuget:20191112021547j:plain

 

「朝日百花植物の世界」には「花弁は1〜8個、萼片より小さい」と記載されています。

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小花は萼片・白い花弁・線状の雄しべ・ぷっくり膨らんだ雌しべから成ります。

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10月30日、萼片と花弁が散り、雄しべと雌しべが残っていました(両性花)。

ぷっくり膨らみがある雌しべはこの画像では1花に2〜3個あるように見えます。

上記文献には「花弁は1〜8個、萼片より小さい」と記されていました。

多くは両性花のようですが、雄しべだけの雄花もあるそうです。

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ハナバチなど多くの昆虫が飛び交っていました。

スズメバチまでお出ましでそれらを狙ってクモが網を張っていました。

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10月30日、小花は上の花序から順に咲きます。

右の花序は雄しべが散って雌しべだけが残っています。

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薄紫色の短い花柄の上に2〜3組の雌しべが立ち上がっています。

雌しべには薄緑色の柄(え)があり、その先に子房と弯曲した白い柱頭が見えます。

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11月6日、長さ約1cmの楕円形の袋果が出来ていました。

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11月13日、 雄花が多いと云われる下方の花序にも多くの実が出来ている枝もありました。

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全体的には下方の花序には実が少ないようです。

但しこの花序のように結実しなかった両性花もありました(11月19日)。

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ぎっしり並んだ袋果。

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 葉は3回3出複葉。 

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 サラシナショウマに両性花と雄花があると原色牧野植物大図鑑には書かれています。

しかし、触れることもできない植物園の花では雄花を確認することは不可能でした。

 

 

秋の草花

 この1年、地元の園芸店や通販で購入した花が庭の隙間を埋めつつあります。とりあえず今秋咲いた草花を記録しておきます。

 

シュウメイギク

昨秋は外構工事中でデッキの籠に入れていたシュウメイギク、春を待って東の花壇に植えました。

この花は一花一花異なるのが楽しい。

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サクラタデ

偶々見つけた苗を北側のフェンスの前に植えました。

3度の台風でかなり傷みましたが自力で回復、か弱そうで逞しい花です。

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サクラタデ の詳細については前のブログに載せました。

いただいたシロバナサクラタデを持って来られなかったのが残念です。

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こちらのサクラタデも長花柱花でした。

三つに別れた白い柱頭が花冠より長く突出しています。

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ユーパトリウム セレスチナム(青色フジバカマ

隙間を埋めたければこの花が早いということは前の庭で経験済みです。

白花1株、青花2株を植えました。

案の定、たちまち繁茂、でもこれではあまりにも旺盛過ぎ。

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源平ツリフネ(栽培品)(→ハナツリフネソウ

10年ほど前に育てた源平ツリフネ、偶々苗を購入することができました。

自生のツリフネソウに比べて優しく可憐です。

2株のうち、中庭に植えた方は7月に咲いてすでに花期を終えました。

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北側の日陰の庭に植えた株は7月開花後、さらに大きくなって9月、2度目の花を見せてくれました。

今朝は最後(?)の一花が咲いていました。

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シロホトトギス(栽培品)

北側の日陰の庭に植えました。

愛知の庭より葉の痛みが少なく発育良好です。

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雄しべまで純白。日陰では写真が撮りにくいのが難です。

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セキヤノアキチョウジ

前の庭から一株送ってもらった株は大きく育ったのに、開花前に突如枯れました。

しかし同梱のクリスマスローズの株から伸び出た1本が懐かしい花を見せてくれました。

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シモバシラ

愛知より寒いつくばでシモバシラの霜柱が出来にくいのは何故でしょう。

自分の目で確かめたくてシモバシラを2本購入、中庭と北側に植えました。

中庭は10月始めからにぎやか、北側はやや元気がなく10月下旬から開花中。

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雄しべが揃って長く突出しています。

今年の冬はどちらかの株で霜柱が見えるでしょうか?

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ツキミソウ

前の庭で採取したツキミソウの種子を植木鉢に蒔きました。

種蒔きが遅かったので開花は9月になりました。

こればかりは開花したら室内で観賞できるので鉢植えがお勧めです。

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ツキミソウは夜の花ですが、朝、淡いピンク色に染まっている姿もまたいいものです。

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ヤマハッカ

北側の日陰が気に入ったのか、たちまちこんなに育ちました。

初めて見る野の花、小さな薄紫の花が次々と咲きます。

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花の長さは7mm、辛うじて雄しべが写りました。

薄暗い上、風に靡くのでたいへんでした。

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出会いのまま先着順の植栽です。

それでも1年で家の周りが大体緑になりました。

 

 

 

 

アケボノソウ (栽培品)

 アケボノソウ 

     曙草 リンドウ科センブリ属の 2年草

  学名Swertia bimaculata 

  分布:北海道から九州・中国・ヒマラヤ

  花期:9〜10月

 

これは10年前六甲高山植物園で撮ったアケボノソウです。

初めて見た花に感動したものです。

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今年7月、偶々通販で見たアケボノソウの苗を購入、つくばいの横に植えました。

高さ75cmほどに育ち、10月頃より開花し始めましたが、何か物足りません。

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もっとパッと開いて欲しい。

10月17日 やっとほぼ平開した花。

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アケボノソウの花は直径約2cm。花冠は深く4〜5裂することが多い。

特徴は花弁中央の2個の黄緑斑(蜜腺)と先端部の紫色の小斑点(ガイドマーク)。

これらを曙の空に残る月と星に見立てて命名されたそうです。

  雄しべ5本、雌しべ1本。雌しべは花柱がなく子房の頂上が柱頭です。

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 開花したばかりの花ではまだ雄しべが伸び出していません。

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次第に雄しべが伸び、柱頭も 開いてきます。

この頃すでに蜜腺からは蜜が分泌されているよう。

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雄しべの葯が開く直前、もうアリが蜜を求めて来ています。

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葯が開いて花粉が出ました。

但し、六甲のアケボノソウに比べて雄しべが短い。

花弁も六甲のアケボノソウは細い舟形ですが、これは先が膨らんで五角形。

平開しにくいのも特徴でしょう。

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 大きなアリ、でもアリは受粉の助けにはなりませんね。

でもこの庭にはハチやスズメガの仲間がよく飛来しますから受粉は出来そうです。

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受粉後。柱頭には花粉が付き、子房も大きくなっています。

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子房を囲むのは萼ではなく、花弁。

萼は六甲のアケボノソウに比べ、大きいように思います。

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花弁が子房を包みました。

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本当にアケボノソウの子房を包むのは萼ではなく花弁なのでしょうか?

確認のため若い実の花弁を少し開いて写しました。

あら? 子房の下方にあるものは何でしょう?

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雄しべ? 若い葯と花糸のように見えます。

アケボノソウの結実画像をネット検索しましたが、このような画像は見当たりません。

ふつうは葯が消えて長い花糸が若い果実から飛び出しているのです。 

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やはり、このアケボノソウは少し変わっています。

上の方の花の子房の多くは膨らんでいますが、一部は受粉できず退縮。

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さらに下の方の花が咲き始めました。

花の大きさに比べて茎も太いようですね。

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しかし花弁が脱落しないので、周辺には花殻も落ちずすっきりしています。

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アケボノソウだと思って育てた株は以前見たアケボノソウとは雄しべ・花弁・萼などに少々違いが見られました。

近縁種があるのかとネット検索してみましたが、ミヤマアケボノソウやシマアケボノソウは別種、その他にはみつかりませんでした。

白い花がぱーっと明るく開花する日を楽しみにしていましたから少々残念ですが、こんなこともあるのですね。

そういえば前の庭には大株のシモバシラがありましたが、雄しべが短かく種子ができませんでした。

 

追記

このアケボノソウについて検索を続けましたところ、よく似た花を見つけました。

 「山野草を育てる」アケボノソウの育て方
 
アケボノソウを種子から2年余育てられたのですが、咲いた花は日光植物園など自生地で見た花とは異なる印象であったと。
その花がまた私の庭で咲いたアケボノソウとよく似ています。
お許しを得てリンクさせていただきましたので比較してみてください。
私のブログのタイトルも「アケボノソウ?」から「アケボノソウ(栽培品)」に変更しました。

転居後1年の中庭

大型台風19号が接近、次第に風雨が強くなっています。

庭にも出られず今日は写真を整理しつつこの1年の中庭の変遷を振り返ってみます(一部、過去のブログと重複)。

昨年10月3日、愛知県の旧庭より移植した3本と新規購入の庭木4本を定植。

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10月7日、芝張り。

息子が生産者の畑で直接仕入れてきた芝生を一人で張ってくれました。

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まだ花は皆無の家に友人から大きなカサブランカの花束が届きました。

玄関にも居間にもそして庭にも分けて活けましょう。

大きな花瓶は断捨離して来たことを悔やみましたが、籠や灯器にペットボトルを入れてにわか花器を創作、また楽しからずや。

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11月、こちらの庭師さんに追加植樹と敷石を依頼しました。

開花中のニゲラや旧庭から送ってもらったクリスマスローズも植え込み。

まだまだ土が露出していますが、東の庭の植栽を優先し、こちらは霜柱を観察しつつ春を待つことにしました。

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4月、ドウダンの白い花が咲き、クリスマスローズがまだ頑張っています。

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5月、真ん中のマルバノキの若葉が美しい。

左方に白色のシャクナゲと紅いヒューケラが開花。

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6月は「庭の樹木 2019.6.4.」の画像の再掲、今日は草花に注目です。

後方の薄紫はアガパンサス

中央前はピンクの八重咲きベゴニア2株、これは長〜く咲き続けます。

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7月 、花友さんからいただいたヤマユリの球根が大きく開花! 

右手前はブルーが美しいロベリア パラシオンブルー、その後にスーパートレニア。 

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ロベリア パラシオンブルーは細い葉とやさしい花が好きでした。

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8月、スーパートレニア カタリーナの威力(これで2株)、敷石が覆われて歩けません。「朝顔につるべ取られてもらい水」の心境です。

後の紫色2株はクサトベラ科の園芸種、スカエボラ。

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9月、厳しかった日照り の日々もこの庭はベゴニアのピンクとトレニアのブルーに彩られて明るく保たれました。

芝生も生育良好、芝刈りは息子が担当してくれています。

幸いにも昨秋から今年の17号までの台風では大きな被害はありませんでした。

これは風雨の中の今朝の庭です。

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揺れる樹々を見ていると真ん中のタイワンツバキに白い花を3輪見つけました。今朝開花したようです。

ああ厳しかった引越しから何とか無事1年たったんだとまた思いました。

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風雨が強くなってきました。

まだ隣県にも前の台風15号・17号の被害が残っています。

どうぞ、19号の被害が少なくて済みますように。
 

 

ルリトウワタ

瑠璃唐綿

キョウチクトウ科ガガイモ亜科ルリトウワタ属 蔓性多年草ないし低亜木。

 

学名:Oxypetalum coeruleum 

別名:オキシペタラム ・ ブルースター ・ ツイーディア

原産:ブラジル南部・ウルグアイ

 

ルリトウワタは園芸店ではたいてい オキシペタラムの名で販売されています。

でもきれいな和名がありますので、Wikipediaと同じく「ルリトウワタ」としました。

今年6月に植えた2株が種子を結びながら今だに咲き続けています。

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美しい青い花、でもガガイモの仲間は何か妖しげな雰囲気です。

花の直径は約3cm。

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 葉・茎・萼 共に毛むくじゃらです。

花弁は厚く、雌しべ雄しべがはっきりしません。 

5枚の花弁、その内側の濃い青色の副花冠も5枚。

中央は雌しべと雄しべが合体した蕊柱です。

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アリが頭を突っ込んでいます。 

花弁と副花冠の谷間に蜜があるようです。

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ガガイモの仲間は今までに ガガイモ・トウワタフウセントウワタを見てきました。

それらに共通するのはクリップのついた花粉塊、老眼の身で今一度探してみます。

これはルリトウワタの花の萼片3枚、花弁3枚、副花冠2枚を取り除き、白い蕊柱を露出させたところです。

下の凹みには蜜がたまり、蕊柱の中央に黒いクリップが5本見えました。

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 クリップの下から針を近付け、そっと持ち上げると黄色い花粉塊が一対付いてきました。

蜜を求めて潜り込んだ 昆虫に花粉塊を凹みの中の柱頭室まで運んでもらおうという仕組みです。

(この画像、更新しました。2019.10.1.15:50)

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受粉するとガガイモのような長い果実ができます。

ルリトウワタの茎は自立しにくく半蔓性。

葉は対生で丸っこい矛型。大きい葉で約7cm。

細かい毛が密集していて灰緑色に見えます。

葉や茎を切ると白い汁が出ます。

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受粉が複雑な仕組みですから果実は少ないのですが、この一株には今までに完熟3個、未開7個。もう一株では完熟1個のみ。但し共にまだ次々と開花中です。 

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灰緑色の果実は熟すと10〜12cm、褐色の紡錘形になり、乾燥して裂開します。

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 中には真っ白な種髪が付いた種子がびっしり並んでいます。

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乾燥すると種髪が付いた種子が風に乗って漂っていきます。

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とりあえず付近のイブキジャコウソウの上に軟着陸。

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ガガイモの仲間の花粉塊

ガガイモの仲間は今までに4種の花粉塊を観察しました。

どれも1mmくらいでピンボケですが、並べてみるとクリップや花粉塊の形が少しづつ違っています。

 

f:id:yuusuget:20190930234452j:plainガガイモ

                                    https://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16    

f:id:yuusuget:20190930234806j:plain トウワタ

                                    https://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12                                               

f:id:yuusuget:20190930235250j:plainフウセントウワタ

                                   https://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-10-29-1

f:id:yuusuget:20191001155113j:plainルリトウワタ

 

こうした観察は植物園の花ではできませんから、やはり自分の庭に咲いた花は有難い存在です。

来年はこのルリトウワタの種子を庭に撒いてみようと思います。







 

日光植物園-2

日光植物園、もう少し続けます。

 

ノハラアザミ

  野原薊  キク科アザミ属多年草 

 

アザミは子供の頃から野山で見ていた花ですが、詳しく調べたことがありません。

まずはノアザミとの違いを調べました。

                                

ノハラアザミ               ノアザミ

学名: Cirsium oligophyllum                  学名: Cirsium   japonicum

分布:東北・中部・近畿         分布:本州・四国・九州・台湾など

花期:8〜12月              花期:春〜秋

総苞:粘らない             総苞:粘る

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ノハラアザミ

花は上向きに咲き、総苞は粘らない。

アザミは棘があって触ると痛いから、触れたことがなかったのですが、ノアザミは総苞片に腺体があり、粘液を分泌しているのだそうです。

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頭花は筒状花のみ。

下の方の雌しべは花粉を押し出し終えて、2本に分かれています。

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白花もありました。

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ニッコウアザミ

日光地方に自生するノハラアザミの変種。

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 ニッコウアザミにも白花があるようです。

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ニッコウアザミはノハラアザミより葉の切れ込みが多いことが鑑別点。

2回羽状複葉です。

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ツリガネニンジン

   釣鐘人参  キキョウ科ツリガネニンジン属多年草

 学名: Adenophora triphylla var. japonica 

 分布:日本・シベリア東部〜極東アジア

 

ひょろひょろっと伸びた茎から白い釣鐘をたくさん垂らしています。

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学名の japonica が印象的な、なよやかな花です。

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花は釣鐘形で長さ2cm弱。

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ゴマナ

 胡麻菜 キク科シオン属の多年草
  学名:Aster glehni var.hondoensis

 

群生して咲く白い小花、これも初めて見る花でした。

シロヨメナより花が小さく直径約 1.5cm。

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シロヨメナとの違いはまず花の大きさ、シロヨメナの花は直径約 2cmです。

さらに葉の基部に3本の主脈がないことで見分けられるそうです。

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 フシグロセンノウ

 節黒仙翁  ナデシコ科センノウ属多年草

 学名:Lychnis miqueliana Rohrb.

 

林床に突然朱い色を見つけてはっとしました。

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さらに奥に予期せぬ水音!

そのほとりにもフシグロセンノウがキレンゲショウマと揃って咲いていました。

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こちらは出口近くの植え込みの中。

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前の庭では1株のフシグロセンノウを一喜一憂しつつ眺めたものでした。

フシグロセンノウ :はるなつあきふゆ夕菅の庭:So-netブログ

 

 

含満ヶ淵(カンマンガフチ   憾満ヶ淵)

初めに受付で見頃の植物を教えていただいた時、含満ヶ淵も是非と勧められました。

池の周りの細い道を苔むす横木に驚きながら、大谷川 (ダイヤガワ)を見下ろす位置まで転ばぬよう、滑らぬよう、恐る恐る辿ります。

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横木の苔には花が並んでいました。

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水の音が大きくなり、木々の間から渓流が見え始めます。

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碧い水と白い水しぶき、荒々しく削られた岩。

大谷川は華厳の滝下流、小さくても流れは勇ましい急流です。

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左上にかすかに見える赤い影。

これは対岸の「並び地蔵」の一部のようです。

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植物園の中で思いもよらぬ秘境まで見られて嬉しい半日でした。

 

追 加

後で調べると、この「並び地蔵」は徳川家康に仕え、のちに日光山管主を拝命、再興した慈眼大師天海の弟子100名が寄進したものでした。

明治35年の大洪水などによって流されたものもあり、現在70体ほどになっています。

ハプニングがあり、後で対岸で直接お地蔵さんにも対面しました。

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日光植物園-1

せっかく日光に来たんだからどうしても日光植物園へ行きたい。

二日目は江戸村へ行く孫達と別れて私達は植物園で降ろしてもらいました。

 

日光植物園

東京大学大学院理学系研究科附属植物園日光分園)

明治35年(1902年)、本園(小石川植物園)では行えない高山植物の教育研究のために東照宮の近くに開設されましたが、9年後に手狭になって現在の場所に移転したのだそうです。

 

こじんまりした入口の近くに早くもレンゲショウマ!

レンゲショウマ

 蓮華升麻 キンポウゲ科、レンゲショウマ属 1属1種の多年草(日本固有種)。

 学名 : Anemonopsis macrophylla

    分布:東北地方から中部地方大峰山(近畿)

 

長く伸びたチョコレート色の茎から雰囲気のある花や蕾が下垂していました。

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みな俯いています。上の方の花をできるだけ下から撮りました。

外側は萼片、内側の先端が藤紫色の部分が花弁です。

萼片も花弁も厚目なのに透けそうで趣きがあります。

基部に雄しべ多数、突出する雌しべ数本(この花では3本)。

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植物園は名札があるから安心です。

レンゲショウマの名は葉がサラシナショウマに、花がハス(蓮)に似ているとて付けられたそうです。

ぽってりとした花に比べて葉は薄く、荒い鋸歯があるのが意外でした。

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キレンゲショウマ

 黄蓮華升麻 アジサイ科キレンゲショウマ属の多年生の植物

 学名:Kirengeshoma palmata Kirengeshoma

受付でキレンゲショウマも咲いていると言われ期待していましたが、探すまでもなく通路のロープからはみ出すように咲いていました。

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あっちにもこっちにも。

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 その先は裏斜面一面に群生! でも中へは入れません。

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カメラのせいか、光線の具合も悪かったためか、黄色が映えません。

残念ながら今回は身軽に徹してカメラは200gのコンデジのみ。

もっと輝くような黄色のはずなのに残念です。

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 キレンゲショウマレンゲショウマに似ているとて命名されたようですが、レンゲショウマはキンポウゲ科で花や葉の姿も似てませんね。

 

 モミジガサ

 紅葉笠 キク科 コウモリソウ属の多年草 

 学名:Parasenecio delphiniifolius

 別名:シドケ、シトギ、モミジソウ

   花期:8〜9月

モミジガサを初めて見ました。

山菜料理に使うシドケはこのモミジガサのことだったのですね。

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あちこちにありましたが遠くて花の構造がわかりません。

これでキク科? まだ蕾でしょうか?

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 やっと近くで撮れましたがピンボケ。

ソフトに載せてできるだけ拡大しました。

やはりモミジガサの花はキク科の特徴を備えた管状の頭花のようです。

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淡緑色の総苞の中に小花が5つ。

白い筒状の花弁が5裂して開くと、中から雄しべの葯(黒い部分、5本合着)が伸び、さらにその中から雌しべが花粉を押し出しながら伸び出して2裂して柱頭となる。

キク科の両性花のおさらいでした。

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これで満開。

キクやタンポポでは中央にたくさん固まっている筒状花が、モミジガサではバラバラになっていると考えればよかったのですね。

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タマアジサイ

   玉紫陽花  アジサイ科アジサイ属の落葉低木

 学名: Hydrangea involucrata

 分布:福島県岐阜県琉球諸島

 花期:7〜9月

 

 入り口近くからアジサイが目につきます。

もう8月も下旬、アジサイの季節ではないはずなのにと思って近づくと少し雰囲気が違います。

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蕾が球形! これぞ、タマアジサイ! 初めての観察です。

蕾はきれいに苞葉に包まれています。

葉は大きくて先が尖り、表面は両面ともザラザラし、縁は細かい鋸歯状。

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開花すると苞葉は脱落。

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装飾花は白色で花弁は4枚。

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 両性花は淡紫色。花弁は5枚が多そうです。 

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タマアジサイは園内あちこちで見られました。

種子で増えたのでしょうか?

園内は大木の日陰になるところもあり、無帽でも気にならない散策でした。

まだまだ花は色々咲いていましたが、続きは次回に。