西洋松虫草 マツムシソウ科スカビオサ属の2年草又は多年草(まれに1年草)
学名:Scabiosa atropurpurea
原産:ヨーロッパ南部
日本にはマツムシソウ(Scabiosa japonica)が自生していますが、園芸店で販売されているのは主にScabiosa atropurpureaです。
青いビオラの間に咲くピンクの花がセイヨウマツムシソウ(スカビオサ)。
Scabiosaはラテン語の疥癬Scabiesからきたもので皮膚病にきくからと。
昨年ブログに載せようとしましたが、果たせずに終わりました。
花はキク科と同じく頭状花序、周りに総苞片があります。
膨らんだ蕾の間から黒い棘が突き出して何か怪しげです。
頭状花では個々の花を小花(ショウカ)と言います。開花は中央部の小花(筒状花)から始まりました。
頭花満開。直径約4cm。
辺縁の大きめの小花は舌状花。中心部の筒状花から雄しべが伸びています。
花冠が枯れて脱落し、黒い毛が伸びてきました。
頭花は球形の果実になります。緑色の部分は萼、黒い毛も萼が変形したものです。
ではその周りの白っぽいものは何でしょう。
朝日百科植物の世界の「マツムシソウ」には「子房は周りを小苞が取り巻く」と記載されています。
小苞とは「萼片と苞との間に出る小さな葉」。.......難しくなってきました。
球状の果実が出来上がりました。
昨年レイズドベッドに植えたブルーのスカビオサは越年してまた開花し始めました。
スカビオサ ドラムスティック
学名:Scabiosa stellata 'Drumstick'
これは今春たまたま苗を見つけて購入してしまったものです。
左上の白い花がスカビオサ ドラムスティックの初花です。葉は羽状複葉。
右は零れ種で生えたニゲラ(クロタネソウ)。
花は同じく頭状花序。辺花は帯青色で5裂、外側の裂片が大きい。
小花の周りを囲む萼にはすでに小さい棘が見えます。
小花は白色で未開の葯はピンク、中心に雌しべが1本突出します。
花が咲くや、早々と花冠は枯れて脱落、個々の小花は傘状に開いて頭花は球状に変身。
そのままドライフラワーになります。直径3〜3.5cm。
小花中央の黒い星形は萼が変形したものです。
それでは傘型の部分は何でしょう?
これをピンセットで抜いてみました。傘型の部分は硬く触れるとチクチクします。
その下の子房のまわりは柔らかい毛で覆われていました。
さらに熟した果実では萼から伸びた星形マークも脱落します。
これを縦に割ると種子が現れました! 縦約4mm。
種子は傘に守られながら落下するのでしょう。
この傘の部分は植物学的には何でしょう?
検索するうちに「新しい用語の提案 : マツムシソウ科果実における被萼」という論文を見つけました( 須山知香、植田邦彦. 2007. 分類7巻2号p.111-20.日本植物分類学会)。
今までの文献では「小総苞」・「小苞片」などと記載されてきましたが、新たに「被萼」が提案されています。
また星形マークは「萼筒刺状部」と記されていました。
素人がいくら悩んでも分からなかったのは当然でした。
スカビオサが咲く庭の塀の向こうには今、タチアオイが華やかです。
これは隣のお庭の花ですが、今年は特に見事です。
花は下から咲き進んで天辺の花が咲く頃梅雨が明けると言われます。
我が家の庭では白色のアジサイ’アナベル’と青いアガパンサスが見頃です。