実りの秋、植物園では特に多彩な木の実・草の実が見られます。
今回はその中からのいくつかを思いつくまま並べてみましょう。
トチノキの実
中央広場に大きな実がたくさん落ちていました(2022.9.22.)。
クリの実より大きくてチョコレートをかけたお菓子のよう。
街路樹にも使われていますが、トチの実を見たのは初めてです。
果実は直径4cmほどの蒴果で外面にはいぼ状の突起があります。
果皮は3裂して褐色の丸い種子が1〜2個飛び出します。
栃の実はあくが強くあく抜きが大変ですが、ヒトは縄文時代からこれを克服し、餅や煎餅に加工、今なお各地で販売されています。
愛知にいた時は飛騨のお土産に「栃の実せんべい」をよくいただきました。
トチノキは若葉が美しい(2022.4.20.)。
大きな掌状複葉の葉が対生。
太い幹から出た小枝。
5月には新緑が広がり、花穂が立ち上がります。
白い花は雄花と両性花が混じって咲くそうですが、高くて接写できません。
長さ25cmにもなる大きな円錐花序(2022.5.7.)。
開花初期。7本ほどの雄しべが突出して反り返ります。
雄花と両性花が混じって咲くそうです。
花の基部には黄色から紅色に変化する斑があります。
2018.12.19.ムクロジの実がたくさん落ちていました。
これがお正月の羽子板の羽根に使われていた実です。
その後も見上げましたが、高木で花も葉も撮れません。
今年はやっと落下した若い実と落葉した葉をを見つけました(9月30日)。
このべたべたした果皮は石けんのない時代にその代用品として使われたそうです。
ブナの実
ブナの葉については今春記事にしましたが、果実は宿題になっていました。
9月29日やっとブナの実を見つけました。
たった2個ですが落ち葉と一緒に並べて記念撮影。
ブナの実は4片に裂けた硬い殻斗の中に堅果が2個づつ入っていました。
堅果には3稜があり「しずく形」。
さらに11月17日もう1つもさもさした実を見つけました。中は空っぽ!
殻斗の外側は上の実では短い棘状でしたが、これは棘がやや長くてカールし、基部には葉状の鱗片が多数付いています。葉柄は短く約 1.5cmと。この個体は特に短い。
イヌブナは葉柄が長く(約4cm)下垂するそうですが、落果は見つかりませんでした。
シデコブシの実
昨春花を載せたシデコブシの実を見つけました。
昨秋できたと思われる果実がまだ残っていたのです。
袋果が割れて朱色の種子がとびだしたまま、落ちなかったのでしょう。
黒っぽくなっているのもありますね。
ウドの実
午後の陽に輝く花かと思ったらウドの実でした(2022.9.27.)。
高さ2m以上あるでしょうか、周りのハギやオミナエシから抜きん出た高さです。
ウド
分布:日本原産(北海道から九州まで)・朝鮮半島・中国
花は8〜9月にヤツデに散形の小花序をつけるそうです(来年の宿題)。
白い花が散った後、果実は緑→赤紫→臙脂色→黒色と変化していくようです。
この日の配色は圧巻で日本の織物の模様が浮かびました。
昨年10月22日、上の株に近い道端で撮した実です。完熟すると黒くなって落下します。
私が見るウドは春の山菜、白くて太い根茎、サラダやきんぴらが大好物です。
しかしこんな姿を見ると食べたウドには申し訳ない気持ちになりました。
トキリマメ
美しい光沢のある真っ黒な実が美しい。
赤い鞘の果実には黒い種子が2個づつ入っています。
今年9月15日、やっと花が撮れました。
タンキリマメにもトキリマメにも止痰効果は確認されていないようです。
サンショウの実
山椒 ミカン科・サンショウ属の落葉低木
学名:Zanthoxylum piperitum
別名 ハジカミ
分布:北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島南部
木漏れ日の間にいきなり現れたサンショウの実。
赤い果皮から現れた艶やかな球形の種子の美しさに見惚れました。
これはうちの庭のサンショウの若葉と蕾。
葉は奇数羽状複葉で互性。長さ5〜15cm。
若葉は「木の芽」と呼ばれ、我が家でもタケノコ料理や豆腐田楽などに必需品。
サンショウは雌雄異株、我が家に植えた苗はいつも雄株で種子を見たことがなかったのです。
木の実・草の実はたくさんあってどれもこれも記録したいのですが、長くなりましたので今回はここまでにします。