ハンショウヅル
学名:Clematis japonica
分布:本州・九州
和名は花が吊り下がった半鐘に似ていることに由来。
2021年春、南の塀の蔭にハンショウヅルの苗を1株植えました。
その年から開花、翌2022年5月8日頃満開。葉は三出複葉。
今年は早くも4月20日頃から開花。
束生する葉間から出た長い柄の先に鐘形の花を半開します。
昨年まではこのかわいい花を愛でつつ終わってしまいましたが、今年は花の仕組みを追ってみました。
5月1日 すでに満開、↓落花が始まりました。
(下部の葉はコウヤボウキです。)
花を下から覗いてみました。花弁はなく、厚い萼片が4枚。長さ約2.5cm。
真ん中に集まっているのは花粉を出しつつある雄しべ。
萼片2枚が落下し、雄しべが見えています。雄しべから花粉が出ています。
残りの萼片に続いて雄しべも落下し始めました。
5月7〜8日、まとまった雨が降りました。
5月9日の朝、見に行くとハンショウヅルは落花著しく寂しい情景になっていました
右の花は落ちた萼片が2枚ぶら下がっています。
花粉を出した雄しべは萼片に続いて落下します。
落ちた花殻を拾って拡大したら花粉がたくさん見えました。
この2花は萼片と雄しべが落ち、雌しべだけが残っています。
柱頭が開いて白い花のようです。
さてこの雌しべ、1花に何本あるのでしょう?
雌しべを1本づつ抜き取って並べました。30本くらいあるようです。
追記:1週間後残り少なくなった花で雌しべを数えると20本くらいでした。
ここからは昨年の記録です。
2022年8月9日、白い毛が見えているところがありました。
この花の雌しべは10本くらい残っているようです。
昆虫はほとんど見ないから主に自家受粉したのでしょうか?
花柱(宿存花柱)から白い毛が出始め、子房が膨らんでいます。
このあと宿存花柱から出る白毛は数と長さを増し、子房は茶褐色から黒色に変わって痩果となります。
痩果は1花に10個くらいできているようです。
11月10日 黒っぽい痩果が数個づつ残存していました。
この後落葉して蔓だけの状態で冬を越しました。
ハンショウヅルは耐寒性強く、板塀に絡んでいるので支柱も不要。
早春に堆肥と寒肥を少々撒いて春を待ちました。
ハンショウヅルは鹿児島県など一部の県でレッドリストの指定を受けています。
日本に20種くらい自生するといわれるセンニンソウ属の中でハンショウヅルの学名が「Clematis japonica」であることを知って、何か嬉しく思えました。
この小さな空間はハンショウヅルの生育に適しているようですから、大切に見守りたいと思います。
学名:Clematis terniflora
分布:北海道南部から南西諸島、小笠原諸島、朝鮮半島南部、中国、台湾。
同じセンニンソウ属でもセンニンソウの花はハンショウヅルの花と異なるイメージです。
これは愛知の庭で育てたセンニンソウの花です。見比べてみましょう。
センニンソウは花が上向きで、萼片が平開、ハンショウヅルは花が下向きで、萼片が下垂しているだけで基本的には同じようです。
このセンニンソウは花の後、虫害夥しく、3年間果実を見ることができず諦めました。
キイセンニンソウ
学名:Clematis ovatifolia
つくば植物園で見たキイセンニンソウの果実です。
キイセンニンソウの果実はハンショウヅルより長い羽毛が密集し、痩果が黒色。
アートのような迫力がありました(2021.12.26.)。
残念ながらまだキイセンニンソウの花は見ていませんが、センニンソウの花とよく似ているようです。これを見るには高い温室の最上階の外階段に出なければなりません。
今夏、見られるかどうか?