赤い実(つくば植物園2020)

今週の冷たい雨は「冬」の予告編。

美しかった街路樹の紅葉も終わり、路傍には落ち葉が降り積もっています。

秋の植物園を楽しみながら撮った写真を急いで連ねることにしました。 

 

イイギリ  飯桐 ヤナギ科イイギリ属

植物園の案内「みごろの植物」で10月中旬から今週のベスト1になっているイイギリは必見です。

ところが、立札があるところへ行っても太い幹が見えるだけ。

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でも見上げると別世界!

緑のハート型の葉の間から小さなブドウの房ような赤い実が散見されます。

昔、このキリに似た大きな葉に飯を盛ったので飯桐(イイギリ)と呼ばれるようになったのだそうです。

雌雄異株だそうですから近くに雄株もあるのでしょうね。

花期になっても高くて花は見られないかもしれません。

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光が当たった実は輝くような紅!

首がだるくなるまで見惚れてしまいました。

落葉してからもしばらく実は残りますが、冬季、順に落下します。

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しかし、落下した実には輝きはありません。

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マユミ 檀 ニシキギ

赤い花のトンネルかと思ったらマユミの実でした。

愛知では虫に取り憑かれて何年も見られなかった景色です!

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 見上げると種子が見えるものもありました。

果皮が4つに割れて種子が一つ、のぞいています(種子は4個)。

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コマユミ 小檀 ニシキギ

コマユミの紅葉は早い。

池端のコマユミは11月中旬もうこんなに紅くなります。

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でも見渡してももう殆ど実が見当たりません。

花も実もまた来年見に来ましょう。

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ハクサンボク 白山木 レンプクソウ科ガマズミ属

ハクサンボクの実は初めて見ました。

花もガマズミに似ているそうですが、葉が常緑で光沢があります。

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艶やかな緑の葉に透き通るような紅が映えていました。

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追加:昨年撮った写真がみつかりました(2019.10.24.写)

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フユイチゴ 冬苺 バラ科キイチゴ

これも偶々見つけました。いかにも美味しそうですね。

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ヒメイチゴノキ 姫苺の木 ツツジ科イチゴノキ属

樹高3mくらいありそうです。

こんなに大きくてもヒメ?と思いますが、イチゴノキはもっと大きくて10mにもなるそうです。

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花と同時に前年の実が赤く熟して色を添えます。 

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釣鐘状の花の中を覗くと雌しべ1本と赤い葯?

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愛知でも庭にあり、冬季にかわいい花が咲くのが嬉しい木でした。

花の構造が知りたくて熱中したこともありました。

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花の構造を調べるために花冠を開いたところ。

雌しべ1本、雄しべ10本。赤いのは葯室。この中に花粉が入っています。

葯の先端にある白い突起に昆虫が触れると花粉がこぼれ落ちるという仕組みです。

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植物園では遠くからしか見えぬこともしばしば。もちろん採取は御法度。

このように細部を観察できないのが残念です。



 

 

 

 


 

 

モグラ

今年8月11日、「招かれざる客 1)」として モグラの記事を書きました。

放水で追っ払ったように思ったモグラ、その後また悩ましいことになりました。

10月22日、突然、庭の芝生の上に土が盛られました。

大小2個!大きいのは直径約30cm(赤いのは携滞電話のケースで縦14cm)。

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 さらにもう一箇所、デッキと芝生との間にも。

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 モグラに違いない!

前回同様、水で追っ払おうと思いました。

ホースの水を勢いよく掛けるとあらあら、土が溶けてなくなり、小石だけ残りました。

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その2日後(10月24日)、つくばい近くにまた大小2個づつの盛り土!

これを「モグラ塚」というそうです。

今年最後の芝刈りが終わったばかりの庭が無惨です。

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前と同じく大小2つづつ!

何か良い撃退方はないかと検索しましたが、見つかりません。

ネズミ捕りのような装置もあるようですが、もし掛かってしまったらどうするのでしょう?

前の庭で見た死んだモグラの美しい毛皮と小さな手足が思い出されます。

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もう一度だけとひたすら水をかけました。

もうこれで諦めて他所へ行ってくれますように!

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翌25日(日曜日)、朝おそるおそるカーテンを開けると..........!

 またまた大小2個づつ! もう降参!

近くに住む息子の携帯に写真を送りました。彼はここの芝生を植え、その後の芝刈りや手入れもしてくれています。f:id:yuusuget:20201116020102j:plain

 

1時間後一輪車に道具や土を載せた息子が現れました。

土を掬って除け、少し踏み固めて芝生の目土を撒きました。

 前回分の小石もきれいに拾って完了。水は撒きません。

自分の家の芝生や菜園も今までに何度もモグラの被害に遭ったそうです。

もう「共存」するしかないと。

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私は今まで共存まで思い至りませんでした。

確かにモグラが来るということは農薬や化学肥料を使わず、ミミズや甲虫の幼虫が育つ良い土の証しです。でも畑ならまだしも、折角生え揃った芝生は荒らされたくなかった!

しかし、その翌朝、またもや大小2つづつのモグラ塚!

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でももう共存することにしました! 息子がしたように一人で修復。

一雨降ればもう少し目立たなくなるでしょう。

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偶々、つくば植物園では10月24日から「きのこ・カビ・酒」の展示中でした。

10月27日に訪れたときビデオは「ナガエノスギタケ」を放映していました。

驚きました!

ナガエノスギタケは別名「モグラノセッチンタケ」ともいわれ、モグラのトイレ跡から発生するというキノコでした(「セッチン」は昔の言葉でトイレのこと)。

マツタケを少しのっぽにしたような形をしていてやや白っぽい。

このキノコの根を辿っていくとモグラの古いトイレがあるそうです。

これを研究されたのは京都大学名誉教授の相良直彦先生。

スコップとツルハシを手に、日本各地ですでに100例ほども実証されたそうです。

 このキノコ以外にも動物の糞から発生するキノコは多くあり、キノコは森の掃除屋さんともいわれます。

ビデオを見ながら私はなんと浅はかなことをしたものかと恥ずかしくなりました。

大小の盛り土、小はトイレでしょうか。

この植物園にもモグラはたくさん住みついているようで、あちこちに盛り土が見られます。

ここはカツラの木の下、盛り土がたくさんあって大小ははっきりしません。

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ここにも7〜8か所のモグラ。巣穴とトイレの判別はできません。

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うちの芝生が4回も掘られたのはよほどこの庭が気に入ったからでしょう。

4回とも大小で2組づつ。巣穴とトイレのセットと思いたくなります。

一方、うちのミニ菜園には落とし穴のようなところがあります。

4つ足の小椅子を使って種を撒こうと腰を下ろした途端、ふわ〜と後ろに転倒!

草取りの時も1度、ひっくり返りました。

モグラの穴に椅子の後足を1本乗せたようです。

でも今は地下のモグラと共存しているかと思うと心穏やかな日々です。

 

最後にこの庭にもナガエノスギタケが出るか否か?

答えは否。ナガエノスギタケはブナ科の植物と共生関係があり、畑や庭には出ません。

キノコは森の浄化に貢献しているのです。

 

追記

ナガエノスギタケや相良直彦先生について調べている時、これらを詳しく説明されているHPを見つけました。お許しを得ましたのでご紹介させていただきます。

「きのこびと」きのこニュース 2020.8.24.

https://kinokobito.com/archives/5413

 

 

秋の草花(つくば植物園2020)

 

サラシナショウマ

サラシナショウマについては昨年11月20日の記事にしました。

今年は10月24日 訪問、思わず歓声を上げました。

花数が多く、ちょうどこの日が最盛期かと思われる見事な咲きっぷり!

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まだ蕾もたくさんあってしばらく楽しめそうでした。

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ミズトラノオ

 水虎の尾  シソ科 ミズトラノオ属の多年生植物

 学名:Pogostemon yatabeanus  

 分布:日本・中国・韓国 (湿性植物)絶滅危惧II類  

初めて見る花でした。10月18日 ちょうど見頃だったようです。 

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淡い赤紫色の花穂を虎の尾に見立て水辺に生えるからと命名されました。 

細い葉が4枚づつ輪生しています。

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前回 足場が悪くて接写できず、9日後に再訪したときはすでに花期終盤で残念、出来るだけ近くで写した花穂を精一杯拡大しました。

花冠は唇形ではなく4裂し、雄しべが4本づつ突出しているそうですが、この写真でははっきりしません。

雄しべの花糸には長い毛が密生。先端が2裂して Y に見えるのが雌しべです。

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センブリ

   千振  リンドウ科センブリ属の二年草

   学名:Swertia japonica

 和名は「千度振り出してもまだ苦い」ことからと言われ、最も苦い生薬だそうです。

 高さ20〜30cm。見た感じはまことに清楚な花です。

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花径2〜3cm、花冠は深く5裂。花弁には淡紫色の脈があります。

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蜜腺は基部に2個づつあり、その周りに細い毛が生えています。

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雌しべの形はアケボノソウにそっくりです。

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チラシバ

  力芝  イネ科チカラシバ属の多年草

  学名:Pennisetum alopecuroides

手強い雑草として嫌われるチカラシバも踏まれることもなく育てば、紫色のブラシのような花序がなかなか美しいものです。

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「力持ち」と紹介されていました。

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キクタニギク

  キク科キク属の多年草

  学名:Chrysanthemum seticuspe

     Chrysanthemum boreale (Makino)

  別名:アワコガネギク。

どこにでもあるようで、この頃あまり見ないキクが目に入りました。

京都の菊渓(キクタニ)とよばれる奥山に自生していることから名付けられたそうですが、牧野富太郎はこれを「アワコガネギク」と名付けたとか。

分布:東北・関東・近畿・九州北部・朝鮮半島・中国東部

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花径1.5cmほどでシマカンギクより小さい。準絶滅危惧種

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トリカブト

   Aconitum

  鳥兜 キンポウゲ科トリカブト属の総称 

有毒植物として有名なトリカブトは世界に約300種、日本に40種近くあるそうです。

有毒成分はアルカロイドの一種のアコニチン類で、山菜 の季節に間違って食べて中毒を起こしやすい植物ですが、塊根は漢方薬 附子(ブシ)の原料として利用されています。

 

鳥兜は舞楽で用いられる華麗な被り物のことで、鳳凰の頭になぞらえて兜と首の後ろを守る「しころ」から成り、この花の姿に似ています。ここに見えている部分は花弁では無く萼。

(この写真はかって六甲植物園で撮ったヤマトリカブト

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ヤマトリカブト

 山鳥兜 キンポウゲ科トリカブト属の多年草(擬似一年草

    学名:Aconitum japonicum subsp. japonicum 

 分布:関東地方太平洋側

2020.11.6. 美しい青紫色の花が咲いていますが、奥の方で近寄れません。

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ぎりぎりまで拡大。葉は薄く3-5深裂。

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昨年の11月6日にはもっと遠いところに、たくさん咲いていました。

長い茎が目立ちます(80〜180cmと)。

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 オクトリカブト

 学名:Aconitum japonicum  subsp. subcuneatum

 分布:東北日本

オクトリカブトはとくに毒性が強いジテルペン系のアルカロイドを含むそうです。 

つくば植物園では薄暗い湿地にひっそり咲いていました。

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花の構造は複雑で、ここに見えている部分は萼。

左下の花の中心に見える黒い部分が雄しべ。不気味なかんじですね。

その上方に蜜があり、マルハナバチが潜り込むそうです。

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今年はもうどの葉もよれよれ。ヤマトリカブトに比べて葉の切れ込みがやや浅い。

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 もう袋果もたくさんできています。上に尖っている部分が花柱。

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 むつかしそうで昨年はパスしたトリカブト、暗かったり、遠かったりで良い写真が撮れませんでしたが、とりあえず入門です。

 

 


 

 

 

カツラ・ニッケイ・シナモン

秋の気配に誘われてやはり植物園に行きたくなりました。

まだマスク着用と入館前の体温測定は継続、研修展示館などは閉館していますが、植物たちは泰然と秋を迎えていました。

しかし自粛の影響で歩行能力が落ちたのか以前よりさらに足運びが悪い。

広い園内、杖をつきながら少しづつ見ることにします。

 

カツラ

 桂   カツラ科カツラ属の落葉高木

学名:Cercidiphyllum japonicum

分布:日本、中国

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案内板によると漢字の「桂」はニッケイのようなクスノキ属やモクセイ属の樹木をさし、平安時代にはニッケイメカズラ、カツラをオカズラとよんでいたことから「 桂」の字が当てられたと。和名も「香出(かづ)」に由来するといわれます。

 

昨年11月21日、私はこの植物園でカツラの甘い香りを初体験しました。

   「つくば植物園の紅葉 2019

今年もあの香りをもう一度と思い、園内3箇所のカツラの木を巡りました。

10月18日 、池の東側、岩礫地のカツラ。

 葉はまだ黄変しきらず、落葉はわずか、香りもこれがそうかな?という程度。

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雨後の10月24日、中央広場のカツラ。半ば落葉しています。 

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しかし落ち葉の清掃が行き届いているせいか、香りは微かにという程度でした。

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池に落ちたカツラの葉。

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10月27日、残るは一番奥のブナやイヌブナの林にあるカツラです。

近づくにつれ昨年のキャラメルの匂いがよみがえってきました。

あ〜 この香りと、深呼吸。でもまだ昨年ほどには感じられません。

この香りはカツラの葉に含まれるマルトールという香気成分によるそうです。

マルトールは老化して乾燥した葉の組織が壊れて放出されると考えられています。

但し昨年は11月25日。葉は黄色か褐色で大半は落葉していました。

今年の香りのピークはもう少し後のようです。

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真っ直ぐな幹は柔らかく、家具・仏像・碁盤・将棋盤などにも利用されてきました。

カツラは 雌雄異株。花や実の観察はまた来年の課題にしましょう。

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ニッケイ

 肉桂 クスノキ科ニッケイ属の常緑高木

  学名:Cinnamomum sieboldii

 分布:徳之島・沖縄島・久米島、中国南部、インドシナ半島

中央広場にどっしり構えた大木があります。これがニッケイです。

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樹下のベンチ。周りに落ち葉が積もります。

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根や幹の皮に芳香と香味があり、お菓子や薬(健胃剤や発汗剤)などに利用されてきました。

ニッキ飴、八ツ橋、肉桂餅など現在も造られています。

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 葉は長さ10cmくらいの被針形、革質で光沢があります。

3本の葉脈が美しい。

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落ち葉を拾って嗅いで見ましたが香りは感じられませんでした。

しかし枯れ葉を砕くと確かにニッキの香りがしました。 

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見上げると1cmくらいの緑色の果実が飛び出していました。

これはもう少し熟すと黒くなるようです。 

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セイロンニッケイ    (シナモン)

      錫蘭肉桂   クスノキ科の常緑小高木  

 学名:Cinnamomum verum ( C. zeylanicum )

   原産:インド、マレーシア、セイロン島

 

つくば植物園ではセイロンニッケイも熱帯資源植物温室にありました。

シナモンはこの若い枝の樹皮を乾燥させたものだそうです。

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すでに 温室の高さを超え、剪定されているようです。

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葉は対生、ニッケイより大きく、狭卵形で光沢があります。

縦に3本の葉脈が入り、観葉植物としても美しい。

残念ながら今は花も実も見られませんでした。

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シナモンはコショウ、グローブと並ぶ三大スパイスの一つとされ、熱帯各地で 栽培されています。

樹皮のまま細長く巻いたものはシナモンスティックとして流通、また粉末状にしたものはシナモンパウダーとしてシリアル・パン・ケーキや料理、コーヒーや紅茶などに使われています。
 

 

 

初秋の前庭

転居して2年になりました。

年をとると月日が経つのがどんどん早くなる感じがします。

あと10年住みたいと思っていたこの家も残り8年?

庭の樹々も茂ってきました。居間から見える庭の左側は和風の庭です。

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モグラに荒らされたスギゴケも何とかセーフ。

ツワブキとフウチソウが予想外に大きくなりました。

これからツワブキの蕾が立ち上がり、フウチソウは枯色になります。

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後の白い花はシモバシラ。

昨年5月下旬にポット苗を植えたものがこんなに大株になりました。冬季の氷華が楽しみです。

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長い花穂に雄しべが平行に並んで白く輝いています。

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庭の右側は草花の庭、彩りは安価で手間いらずのトレニアとベゴニア。

5〜6月にビオラを抜いてから 11 月に次のビオラを植えるまで咲いてくれます。

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ベゴニアは前の記事の「シュウカイドウ」の園芸種。

花が多くて判りにくいのですが、雌花と雄花があります。

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後方に白く見えるのは左がフロックス、中央と右はシュウメイギク

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奥の方では3色(薄赤紫・淡青・青紫)のスーパートレニアが地面を覆いました。

追 記 :

このトレニアは「スーパートレニア・カタリーナ」という新しい栄養系品種で、以前は青紫色のブルーリバー(手前と右側)という品種だけでしたが、今年はアイスリバー(淡青色・中央)とピンクリバー(薄赤紫色・一番上)の3色(4株)を入手できました。

暑さに強く、這うように拡大してたくさんの花を咲かせますが、種子は出来ません。

中央左の白と紫の花は従来のトレニアです。

 

左上部の緑はアガパンサスクリスマスローズ

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中央のシュウメイギクは背が高く、花は上を向いて咲きます。

これは庭の南側の塀際から撮った写真です。

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右のシュウメイギクは背が低く、花の形も様々、柔らかい感じです。

日当たりが良い方(ここでは南東)を向いて咲きますから、居間から見るときはやや後ろ姿になってしまいます。

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南西の隅に白花モミジアオイ、その右に紅花のモミジアオイ

間の白っぽい葉はシャクナゲモドキ(ロドレイア)。

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西側のオミナエシは蝶を呼ぶ花、長く咲きましたがもう秋色。

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その足元に初めて植えた白のフヨウが開花。

でも早速フタトガリコガヤの幼虫にしっかり食べられました。

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サルビア レプタンスは爽やかな青。

背が高くなりましたが、アズレアよりは倒れ難いようです。

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今年は秋晴れの良い日が少なく、急に寒くなって驚きました。

こちらは稲刈りも早くてもう殆どの田が終わっています。

街路樹にもはや紅や黄色が見られるところがあり、秋の進行が早そうです。

 

シュウカイドウ

シュウカイドウ

秋海棠 ウリ目シュウカイドウ科の多年生草本

学名:Begonia grandis 

分布:中国(揚子江以南・山東省・河北省)

花期:8〜10月

 シュウカイドウは意外にも外来植物でした。

園芸が盛んだった江戸時代初期の1641年(寛永18年)に中国から輸入され、群馬・栃木県以西に分布。

 和名はバラ科のカイドウに似た色の花が秋に咲くことから。

その後もシュウカイドウ科のベゴニアは種々日本に入りましたが、それらは「ベゴニア」と呼ばれています。

 

草丈40〜60cm、葉は左右非対称、互性。葉の長さは20cm未満。

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シュウカイドウは何故か愛知の庭には育ち難く何度か植えても消えました。

こちらの庭には昨秋植えましたが、容易に生育し、今年はたくさん花が咲きました。

花は雌雄異花同株。まず一つの花序の上の方に雄花が咲き、のち下の方に雌花が開花します。

下の写真では開花しているのは雄花のみ、下方の雌花には稜のある子房があります。

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これはシロバナシュウカイドウ(変種)です。

雄花は大きい萼片2枚と小さい花弁2枚、雄しべは中央に球状に集まっています。

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二枚貝のような蕾、中はどうなっているのでしょう?

小さな花弁2枚が窮屈そうに収まっていました。

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雄しべの頭部には花粉が見えません。よくよく見たら側面に開口しているのですね。

またベゴニアは湿度の高いところに生育するため花粉は粉質ではなく粘質だそうです。

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雄花は花柄のまま落花します。

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雌花には三角錐状の子房、2枚の大きな萼片、1枚の小さな花弁、黄色い雌しべがあります。

遠くから見ると雄しべも雌しべも同じように見えます。

実はシュウカイドウの雌花は蜜を分泌していない! 

そのため花粉を付けた昆虫が雄花・雌花の区別がつかぬまま、雌花にも訪花してくれるよう期待しているのだそうです。

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雌しべは3つに分かれ、さらにそれぞれ左右に分かれて捩れています。

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6組の捻れた柱頭は螺旋型とか豚の尻尾とか表現されていますが、これは昆虫についている粘性の花粉をこそげとるための形態のようです。

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昆虫の気配がないと思って見ていた時、突然マルハナバチが訪れてくれました。

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受粉成功、初めに咲いた雌花はもう三つの翼のある蒴果になりつつあります。

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シュウカイドウは球根のみならず、葉腋に付く珠芽(むかご)でも殖えます。

すでに株元には小さい苗が多数育っていました。

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葉の表面は緑色ですが、裏面は一般には薄緑色。しかしここのは赤色を帯びていました。

園芸種「裏紅秋海棠」だったようです。

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シロバナシュウカイドウは葉脈が紅い。

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荒い木柵の隙間から道路側へ花が覗きます。道ゆく人の目にとまるでしょうか。

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一般にベゴニアは湿気の多い半日陰を好み、寒さに弱いのですが、シュウカイドウは耐寒性強く、つくば下ろしにも耐えました。

球根とむかごと種子により繁殖力旺盛、冬季は地上部は枯れますが球根が肥大し越冬します。

シュウカイドウは初対面、調べるほどに難しく、蕊の写真も撮りにくく難儀しました。

でもこれからは初秋の楽しみになるでしょう。

 

 「秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり」 松尾芭蕉 

                           

 

 

 

小さな生き物 2題 

1)アルテミア (Artemia)

甲殻亜門鰓脚綱サルソストラカ亜綱無甲目ホウネンエビモドキ科の節足動物

 

今夏小3の孫のために買った雑誌におまけが付いてきました。

アルテミア飼育キット」!

アルテミアは8500万年前、恐竜が生きていた時代から世界各地の塩水湖に生き続け、「生きている化石」といわれるホウネンエビモドキ科の節足動物だそうです。

キットには乾燥卵・海水の素・えさ・飼育ケースが入っていてすぐ 飼育を開始できます。

卵を紙の上に出しました。

黒い粉のように見えましたが、拡大すると凹んだゴムボールのよう。

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海水の素を入れて人工海水をつくり、卵を入れたらあとは待つだけ。 

マニュアルには1〜3日で誕生、5日で泳ぐと書いてありましたが、今回はばらつきが多く、泳ぐまでに2〜7日。 

孵化すると朱赤色の卵形になり黒い目が一つ見えます。

これは「ノープリウス幼生」といわれ、体長1mm弱。 

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幼生はだんだん細長くなり、泳ぎ出します。

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12時間で卵黄を消費し尽くし脱皮。餌として添付のきな粉(下方の塊)を与えます。

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小さな水槽の中を絶えず動き回ります。鰓が形成されているようです。

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1週後、体長約2mm、全体に灰色になりました。黒い複眼一対と胸部の鰓脚が見えます。

新しい海水をつくって数十匹のアルテミアを匙ですくって移動。

孫は「金魚すくいより簡単」と手早く移しましたが、老眼では見にくい。

また動きが早くて写真が撮れない。これは12日目やっと写した1枚です(脱皮後?)。

このあとも何とか撮ろうとカメラを近づけたらカメラが濡れてしまって断念。

15回ほど脱皮を繰り返して成体になるそうです。

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追加 2020.9.24.

水面すれすれでの動画が写せましたが、ブログには載せられません。触覚と鰓脚を頻りに動かしています。

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これはWikipediaから拝借した成体の写真です。体長8〜10mm。

左が雌、右が雄。

どう見てもあまりかわいくないですね。

アルテミア観賞魚の飼育用プランクトンとして利用するため養殖されているそうです。

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孫用に買った雑誌のおまけの写真を撮ろうとして翻弄された2週間でした。
でもまだ飼育は続いています。

(海水の素と少し大きめの水槽を買い足しました。)

 

 

2)ノミバエ

 双翅目短角亜目ノミバエ科ノミバエ類の昆虫

学名: Phoridae

体長:約2mm

 

9月4日、目の前を細かい虫が飛び交いました。

飛蚊症? いえいえ、本物の虫です。

ヌカカ? もっと小さい。網戸を通過して侵入したと思われます。

たいへん! お皿にきました。

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ぎりぎりまで拡大。

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ついで机の上を徘徊。

手のひらでパシャーン! 蚊より動きが鈍く仕留め易い。 

その後も次々現れ、2日間で50匹くらい退治。

でも一体何物でしょう? 検索!検索!

やっとたどり着いたのは「ノミバエ」。翅の模様が決め手です。

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ノミバエ科は全世界で4000種が記録され、Megaselia属にはその半数近くの1400種がいるそうです。これは動物界でもっとも種数の多い属だとか。

 

突然の襲来、一体どこから現れたのでしょう?

やはり外から網戸を通過してきたと思われます。

そして台所の生ゴミ用のゴミ箱に侵入。蓋があっても隙間から入ってしまいます。

昔、漬物桶に寄ってきた小さなハエに似ています。

生ゴミは一回づつ小袋に入れて密封、数日でいなくなりほっとしました。 

 

このまま終わるのも後味が悪い。

最後に今年初めてつくばの庭で咲いた紅白のモミジアオイ をご覧ください。

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