春の妖精たち

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ここへ来て4年目、今までで一番寒かった冬が去りました。

遅まきながら慌ただしく春が進行しています。

やはり春は妖精から、スプリング・エフェメラルのお出ましです。

 

セツブンソウ

節分草 キンポウゲ科多年草

学名:Shibateranthis pinnatifida

分布:関東地方以西の石灰岩地域(日本の特産種)

 

愛知の庭では鉢植えで育て一旦増えた後次第に減少。

鉢ごと転居しましたが、こちらで地に下ろしたら絶滅しました。

昨年4株を購入しソシンロウバイの根元に、鹿沼土を加えて植え込みました。

厳冬を越え、節分が終わり、2月半ばを過ぎても何も見えません。

ところが2月28日の朝、ソシンロウバイの花殻の近くに何やら白いもの?

ひょっとして セツブンソウ? 

3輪開花です! 下の方にも2輪咲きそう!

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うれしくて日に何度も覗きこみます。上の方のは葉だけ?

夕方にはもう全開しました。

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翌3月1日、紫色の葯から白い花粉が出始めました。

花径約2cm。

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拡大します。

白色の萼片5枚。花弁は小さく5〜10枚。Y字状で先端から蜜を分泌。

雄しべの葯は紫色、弾けて白い花粉を出します。雌しべは紫紅色で2〜5本。

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3月11日 左の3本はもう花を閉じようとしています。

草丈 約10cm。はかないスプリング エフェメラルの典型です。

ここに種子を落としてこれからも姿を見せてくれますように。

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 鉢植えのセツブンソウの観察は「はるなつあきふゆ 夕菅の庭」でも

 セツブンソウ1、 セツブンソウ2として記事にしました。

 

セリバオウレン

芹葉黄連 キンポウゲ科オウレン属の多年草 

学名:Coptis japonica var.dissecta

分布:本州 四国 

 

3年前、北の通路に植えましたが花が確認できていません。

2020年4月購入した時は花が終わり、実の状態でした。

セリバオウレンは キクバオウレンCoptis  japonica var . japonica の変種です。

複葉の形により次のように分類されます。

   1回3出複葉       キクバオウレン

    2回3出複葉       セリバオウレン

     3回3出複葉        コセリバオウレン

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果実は矢車のような形の袋果。

先端は開いていて揺らすと種子が落ちるそうです。

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翌春は花が見たいと思っていましたが、北側に地植えしたため寒風で葉は枯れて褐色、右下の1枚だけかろうじて暗緑色でした。

2021年3月8日、何と枯葉の間から花茎が立ち上がり花を咲かせました。

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拡大して花の構造を見ます。

外側から長い花弁に見えるのが萼片、その内側に小さい白色の花弁、雄しべ、雌しべの順です。

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今年はもっと美しく咲いてほしいと思っていましたが、昨冬を越す寒さで全葉枯死状態。

それでも辛うじて花は咲きました。

花が終わったら南の日陰に移植しようと思っています。

オウレン属の植物は根茎や根が黄色だそうです。その時見てみましょう。

2022年3月13日 f:id:yuusuget:20220313165810j:plain

 

ミツバノバイカオウレン

 キンポウゲ科オウレン属の多年草 

別名:コシジオウレン(越路黄連)
学名:Coptis trifoliolata

分布:本州中部以北の日本海

昨春ネット販売で他の苗を探している時見つけてつい買ってしまったものです。

葉は寒波で黒っぽくなってしまいましたが、早くも花を見ることができました。

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小さな蕾に赤い模様が入って美しい。

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葉は3出複葉、花茎は褐色。

近縁種のバイカオウレンは根出葉が5枚、ミツバオウレンは花茎が緑色だそうです。

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花の構造はセツブンソウと同じです。

花弁のように見えるのは萼片、蜜を分泌する小さな黄色の花弁が5〜6枚。

多数の白い雄しべと緑色の雌しべ。

花期は5〜8月と。山岳地帯では雪解けしてから咲くのでしょうね。

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次々と開花。

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3月14日 小雨の中、葉に緑が戻り、花も輝いていました。

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フクジュソウ 

福寿草 キンポウゲ科多年草

分布:北海道、本州、四国(日本固有種)

 

日本には次の4種のフクジュソウが自生しているそうです。

1)フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)(北海道〜九州)

  学名:Adonis ramosa  茎は中実。萼片が紫色を帯びる。

  1茎多花。葉裏に殆ど毛が無い。茎は中実。

2)ミチノクフクジュソウ(東北から九州)

   茎は分枝。 茎は中空。萼片は花弁の2/3の長さで緑色〜黒緑色。

3)キタミフクジュソウ(北海道東部)

   1茎1輪、茎が中実・多毛。萼片は花弁より長いかほぼ等しい。

4)シコクフクジュソウ(四国・九州の一部)

   茎は中空、全草無毛。

 

我が家のフクジュソウは4回目の開花です。

今まで流通種だからフクジュカイでしょうと思っていましたが、花数も多くなったので1茎切って確認することにしました。

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フクジュカイ 福寿海 

フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)とミチノクフクジュソウとの園芸品種。 

最近市販されているのはこれが多いそうです。

つくば植物園の名札も「フクジュソウ」ではなく「フクジュカイ」でした。

 

我が家のは「フクジュソウ」という名札で園芸店で販売されていた株です。

茎が分枝して2輪咲いているものもあります。

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1輪切り取りました。茎は中空ではなく中実です。

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萼片は黒色を帯びた緑色で花弁の約3分の2の長さ。

葉裏にはほとんど毛はありません。

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総合すると1)フクジュソウに近いようですが、萼片の色は紫色がかってはいません。

江戸時代には後期には多数の園芸品種が作られたそうです。

フクジュカイは八重咲きの大輪花で花色が濃く、強健な品種として普及したのでしょう。

 

 

厳冬の記録2022

家庭菜園4年目

昨冬、我が家のミニ菜園の冬野菜は寒波で全滅しました(家庭菜園3年目)。

茨城は農業県、美味しい野菜は容易に入手できます。

私自身は6年前、腰椎の大手術を受け、ガーデニングには無理がある身。

それでもまた昨秋少しばかり冬野菜の種子を撒いてしまいました。

 

これは昨年12月4日の家庭菜園です。

前列から早生の小蕪、中蕪、水菜、菜花、ミニトンネルの中はスナップエンドウ

後は2株のアスパラです。

モンシロチョウが遅くまで来て、カブの葉は穴がいっぱい。

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12月初めには小蕪や水菜が毎日収穫できました。

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ところが年末の寒波!

フェンスの隙間から容赦無く強風が吹き荒れ、か弱い野菜はなぎ倒されました。

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続く今年初めの低温と次々襲う強風により致命的被害を受けました。

菜花は蕾が食べきれなかったら花を咲かせようと楽しみにしていましたのに再起不能

水菜もスナップエンドウも地に伏したまま。

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2020 年春の菜花です。気候によってまさに天と地の違いです。

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蕪も全滅かと思われました。

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しかし、中蕪は辛うじて生き残りました。

コロナ禍の買い物は原則週1回、新鮮な野菜は貴重品です。

私は蕪をスライスし少しの塩でしんなりさせて、湯がいた葉とユズの千切りを混ぜた即席漬けが大好きです。

蕪は煮ても蒸しても美味しい。寒ブリやスモークサーモンとのカルパッチョも。

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仔犬のチャーリーも野菜が大好き。

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畑のカブを自分で咥えて抜いて齧り付いたこともあります。

でも今は御法度! 

庭の斑入りアオキを剪定した枝で仔犬を遊ばせたことがありました。

アジサイの葉で食中毒を起こしたヒトの話は聞いていましたから、アオキも毒性を確認したつもりでした。ところがその夜、仔犬は嘔吐を反復したそうです。

遊んだ茎を確認すると、一端がかじられ樹皮がめくれていました。

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もう一度検索すると何と犬や牛に「アオキ中毒」の報告があることがわかりました。

中毒物質はアウクビン。

ヒトには生食可能な玉葱がイヌには禁忌、他にもいろいろあるのですね。

アオキの中毒物質は葉および果肉にあり、症状は嘔吐・下痢と。

仔犬は落ちた実も食べたかもしれません。

 

ついでにアオキについてまとめておきます。

 

アオキ

 青木 ガリア科(アオキ科)アオキ属の常緑低木

 学名: Aucuba japonica

 分布:日本の固有種。中国地方を除く関東以西の本州、四国。

 

これは「斑入りアオイ」という名で流通している園芸種です。

常緑の葉は光沢があり観葉植物としても普及しています。

愛知の庭でも丈夫で、剪定も簡単でしたから新しい庭にも2本植えました。

2018.12.15.

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今年は奥の方にはまだ若い実がたくさん付いていましたが、全部採りました。

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1株でこんなにたくさんの実!(2022.1.24.)

下の2本は昨年の実が落ちて発芽していたものです。

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アオキは雌雄異株。これは昨年4月撮影した雄花です。

萼片4枚、雄しべ4本。雌しべはありません。

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雌花は雄花より数が少なく、花序も小さい。

雄しべはなく萼片4枚と雌しべ1本のみ。

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実が赤く熟して液化状の石果となります(愛知の庭)。

この実が落ちていたところは見ていません。ヒヨドリが食べるのでしょうか?

いずれにしても好奇心旺盛な仔犬が口に含まないよう、今年は全部捨てました。

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アオキの隣のソシンロウバイの花も満開。

冬の庭にも春が近づいています。

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つくば植物園の温室(熱帯資源植物温室) バナナ

つくば植物園には温室が6棟あります。

サバンナ温室・熱帯雨林温室・熱帯資源植物温室・多目的温室・水生植物温室・温室絶滅危惧植物温室。

私は暑さに弱い方ですから温室はやや苦手ですが、寒い季節には夢のような空間です。

まずは熱帯資源植物温室へ入ります。

冬季温室へ入るとカメラのレンズが結露し、拭いても拭いてもなかなか晴れません。

今年はポケットに入れたスマホで撮ってみます。

大丈夫でした。結露せず、すぐ撮れました。

 

バナナ

  甘蕉、実芭蕉  ショウガ目バショウ科バショウ属の大型多年草

  英名:banana 

真っ先に目に入るのは緑豊かなバナナの葉、花や実もあってたちまち南国気分です。

しかし、バナナとは何ぞや? 

どこにもあるバナナですが調べてみると謎多くむつかしい植物でした。                     

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バナナはバショウ属の果実ですが、野生のバナナの実は種子が多くて食べられません。

ところが紀元前数千年のころには既に種子なしバナナが栽培されていたようです。

しかしその種子なしバナナの起源は長い間なぞに包まれていました。

これが明らかになったのはやっと1955年、イギリスの植物学者シモンズらの遺伝子研究の成果でした。

その結果、種子なしバナナは主にムサ・アクミナタ Musa acuminata と ムサ・バルビシアーナ Musa balbisiana  (リュウキュウイトバショウ) の倍数体や交雑種であることが判明したのです。

しかし野生のムサ・アクミナタ や ムサ・バルビシアーナ の実には多数の硬い種子があり、食用にはなりません。どうして種子がなくなったのでしょう?

園内のパネルではこのように説明されていました。

『種の入ったバナナは染色体を2組持つ「2倍体」ですが、これが突然 染色体を3組もつ「3倍体」になったのです。3倍体だと正常に減数分裂ができないため種ができなくなりました。』

東南アジアで創られた栽培品種はアフリカへ、さらに中央・南アメリカへと広がり、さらに多種の甘くおいしいバナナが創られました。

この植物園にはバナナの栽培品種や野生種が数種植栽され、果実も収穫されています。

 

センナリバナナ

 学名:Musa chiliocarpa( Musaはリンネによる命名

昨秋 王冠のようにあでやかな花が咲いていました。

めくれ上がった紅い苞の下に2段づつ花が咲きます。

上の方はすでに小さな緑色の果実が見えます。

役目を終えた苞は巻き上がって段状に残存。

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                          2021年10月28日

 

6週後、あの輝きはどこへやら、ぼろを纏ったかのような姿です。

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                                                                                    2021年12月9日

 

しかし 既にぼろの奥には黄色っぽい小さなバナナが見えています。

ぼろに見えるのは茶色に縮んだ苞・長く突出する雌しべの白い花柱・茶褐色に縮れた雄しべ。

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                                 2021年12月9日

 

さらに7週後にはもうぼろはなく、センナリバナナの名の如く、多数の小さいバナナが下がっていました。

下の方では再び開花が始まっています。

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                               2022年1月28日

 

渋い赤色の苞には黄色の花が並んでいました。

赤く縁取られた葯と並んだ柱頭が美しい。

雌花と記載されていますが、両性花のようです。

蜜も滴り落ちています。

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                         2022年1月28日

                        

アカバナナ

  Musa 'Morado'

 見上げるとはるか上の方に赤い花と房になった果実が見えました。

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                        2022年1月30日

古い布のような紫紅色の苞。

このバナナは酸味があって料理用だそうです。

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                         2022年1月30日

バナナ’仙人蕉’

新しい果穂ができそうです。

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ムサ・バルビシアーナ (リュウキュウイトバショウ)

  Musa balbisiana  

これはムサ・アクミナタの倍数体と交雑して種無しバナナを作ったとされるムサ・バルビシアーナです。天井に届きそうな高さに育ち、子孫も増えています。

リュウキュウイトバショウは沖縄で芭蕉布の原料としても栽培されているバショウでした。

芭蕉布で着物を1枚作ろうとすると、3年かけて育てたリュウキュウイトバショウが200本いるそうです。

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長い穂状果穂が下垂して先端に暗紅色の苞が見られます。

花や果実が見られるかどうか、これからも観察していきたいと思います。

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もう一つ、付記することがあります。野生のバナナの送粉者です。

たっぷり蜜の入った大きな花、花は夜開き、花の色は昆虫には見えない赤色。

驚くなかれ、コウモリでした!

一方、バショウ属の中でも昼間に花が上向きに咲くヒメバショウはハチドリが送粉するそうです。

今まで無関心だったバナナやバショウが少し身近な存在になりました。

 

 

初雪 2022

明けましておめでとうございます。

1月7日、昼過ぎから雪が降り始めました。

予報は夕方からだったのに、大粒の雪が勢い良く降り続きます。

午後1時27分。

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乾いた庭に雪は見る見る積もります。

3時間後、庭は隅々まで白く覆われ、フヨウ(左)にまた花が咲きました。

右は銀葉のゴンフォスティグマ

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ヒメシャラの実。

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つくばい周囲。

雪は魔術師、ツワブキ(左)にもまた白い花が咲き、オモト(右)の葉はタコのよう。

画面中央のシモバシラの霜柱もこんもり厚化粧。

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左はゴードニア (タイワンツバキ)。

厚い葉の上に乗った雪が白い花弁の大きな花のようです。

右の常緑ヤマボウシの葉は薄くて雪を保持できません。

口が欠けた古備前風の壺も初化粧。

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ドッグラン用に張った幅1cmほどのビニールコードにも雪が積もりました。

左は3年前愛知の庭から運んで来たナツツバキ。

中央に保育園の明かりが見えます(午後4時40分)。

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左のプランターの木はイヌシデ、細い枝に積もった雪が重そうです。

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プランターの中で咲いていたビオラなどは雪で見えません。

近づくとスノードロップが1輪だけ覗いていました。

これぞまさしく スノードロップ

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翌朝は青空、 ロフトの窓から撮った雪景色です。

左の大きな木はつくばいの近くのナツツバキ、右端は常緑ヤマボウシ

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息子の家へ仔犬(生後5ヶ月)に会いに行きました。

初めての雪と雪だるまに大興奮、元気で飛び回っていました。

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記録的寒波 

12月27日−6.5℃以来昨日まで13日間、最低気温は−3℃以下。

このうち12月31日以外は−4℃以下でした。

こちらへ来て最も寒いお正月!

さらに1月7日早朝は−7℃まで下がり、午後初雪が降りました。

つくばは気温の割には雪が少なく、過去100年の記録をたどっても積雪30cmを超えたことはありません。20cm以上の積雪があった年は10回、最終は2014年の26cm。

今回の積雪は8cm、これらは気象庁つくば(舘野)のデータです。

幸い強風は吹かず、愛知の雪に慣れた私共には雪景色は懐かしくさえ思えました。

しかもこちらの寒冷地用の建築は暖かく快適。

今日はやっと北側の道路の雪が解け、花壇にビオラの花の色が戻りました。

 

シモバシラの霜柱など 2021 

シモバシラの霜柱については既に2020年1月19日2020年12月23の2回載せました。

しかし今年も追加所見があり、またまた記事に残したくなりました。

今年初めての霜柱は12月19日、最低気温−4.9℃の朝でした(9時13分)。

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12月19日10時23分 殆ど解けてまだ緑色を残したような茎が現れました。

まだ茎が乾き切らず、落ち葉も色を添えて若々しい感じです。

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右の大きな糸巻きは10時過ぎてもまだ凛とした姿を保っています。

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12月20日最低気温−4.4℃    皮層が裂けて昨朝より賑やかです。

誤って指が触れて右の長い氷華が落ちてしまいました(9時18分)。

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落下して朝日に輝く氷華片。周りの白いものはヤツデの花殻。

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12月27日

最低気温−6.5℃の朝7時13分、居間からはっきり見えるほど大きな霜柱です。

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豊かな白い造形に寒さを忘れるほどでした。

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接写はやはりスマホが便利です。

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連日の氷結で皮層は裂けて遊離しよれよれになりました。

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霜柱は午後3時過ぎても未だ解けきりません。このまま再凍結しそうです。

後の緑はキチジョウソウ。

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翌12月28日も最低気温ー6.4℃。霜柱はさらに過密になりました。

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家の北側のシモバシラは今春嫁に行き、脇に小株が残りました。

12月27日はそれにもしっかり霜柱ができていました。

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やはり翌日まで解けきらず、さらに12月28日には横に張り出して翼ができていました。

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シモバシラの若葉が美しいのは4月。

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白い花が咲きます(9月)。

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花(長い雄しべが突出)。

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今年の新発見は私の庭でも他のシソ科の植物に霜柱ができたことです。

 

セキヤノアキチョウジ

霜柱ができやすい植物のようですが、前の庭でも見たことがなく、今年初めてです。

1)西庭のセキヤノアキチョウジ(植栽3年目) 地表近くに限局した霜柱です。

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花は10月に咲きました。

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東庭のセキヤノアキチョウジ(植栽1年目)。

株元よりやや高い位置に多数出現。緑の葉はフユイチゴ

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花は西の株より淡い色でした。

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ヒイラギソウ の霜柱

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今年3月に植えたばかりです。発育旺盛で5月にはもう花が咲きました。

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サルビア バンヒューティー の霜柱

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今春 サルビア ガラニチカ(紫)・サルビア スプレンデンス(ピンク)の三種を植え込みましたが、霜柱が見られたのはサルビア バンヒューティー(真紅)だけでした。

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ヤマハッカには2020.1.6.に一度だけ霜柱が見られましたがその後は見られません。

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ヤマハッカの花

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  愛知の庭では オルトシフォン・ラビアツスに霜柱が見られました。

  オルトシフォン・ラビアツスの霜柱オルトシフォンの霜柱 2014

 

今年は寒波のため氷華がたくさん見られました(でも家庭菜園の野菜は被害甚大です)。

近くの息子の庭にもシモバシラを試植、朝日が届く所ですがきれいな霜柱ができました。

つくばは愛知より気温が低く雪は少ないので霜柱を見るにはより適した土地です。

苗は園芸店では見かけませんが、春にネット通販で購入すればその冬には小さい霜柱が見られます。庭蔭に余裕があったら是非お試しください。

 

写真の整理に手間取っているうちに今年もあと1日になってしまいました。

どうぞ 良いお年をお迎えください。

 

 

 

 

 

 



4年目の師走

当地へ来て早くも3年が過ぎ、4度目の冬を迎えました。

つくば駅から3km、大通から我が家へと東に曲がると突如田園風景が広がります。

11月23日は筑波山と稲刈りを終えた田んぼ、その間に黄葉した銀杏並木が輝いていました。

今日の筑波山は?と楽しみなポイントです。

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平塚通りの銀杏並木。

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左の塔は国土地理院の測地観測塔。

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大通りのユリノキはすでに落葉。

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花が咲いた木には実が付いています。

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モミジバフウ

  紅葉葉楓 マンサク科フウ属の落葉高木

  北アメリカ原産

つくば市の街路樹としてはトウカエデに次いで多く、約2000本植栽されています。

我が家の近くでは最も多く見られる木で、秋から初冬の紅葉は壮観です。

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紅葉が一斉ではなく、早い遅いがあったり、色も紅・黄・紫と混じり合うのが妙です。

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紅〜黄色。

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黄〜紅〜紫。

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もう今年の紅葉は終盤です。どっさり降り積もった落ち葉。

市の清掃車も来ますが、付近の住人の方は落ち葉掃きが大変です。

こうして街路樹を楽しめる街に住めたことをいつも感謝しています。

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葉の大きさも大小様々でモミジのように5〜7裂、幅7〜25cm。

落ち葉はしっとりした優しい色になっていました。

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たくさん実ができている木もあります。

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イガイガの実がたくさん落ちていました。

直径3〜4cmの集合果。トゲトゲで触れると痛い。

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フウ

 楓 マンサク科フウ属の落葉高木

 台湾原産。江戸時代中期に渡来。

日本のフウ属はフウとモミジバフウの二種のみですから、ここに植物園正門のフウについても併記しておこうと思います。

2021.12.9. 見上げるような大木です。

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クリのような実がいっぱい(2019年12月8日)。

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葉には8〜10cmの葉柄があり、葉身は3裂。

葉は殆ど黄色、時に赤色が混じります。幅 7〜15cm。

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果実は直径約3cmのクリのいがのような球形集合果。

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落ちていた昨年と今年の果実を並べて撮影しました。  

モミジバフウに比べると一回り小さく華奢な感じです。              

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残念ながらフウもモミジバフウもまだ花を見たことがありません。

雌雄別々の頭状花序だそうです。

高所の葉陰で見え難く撮影もしにくいでしょうが、また春を待ちたいと思います。


近況:
2週間前から平日の午前中約2時間、コーギーの仔犬を預かっています。

長いリードをつけて芝生の庭とベランダで半ばフリーに遊ばせます。

でも穴を掘ったり、落ち葉を食べたり、リードが木に巻き付いたりして目が離せません。

とはいえ、思いもしなかった犬と暮らす老後、ありがたいことです。

お蔭で庭の手入れは捗りましたが、ブログの更新は遅れました。

 

 

蘭展 つくば植物園2021

今秋 つくば植物園で「つくば蘭展」が開催されました。

ランはやはり高嶺の花、ランがわからん者の「ラン学事始め」です。

 

1)「つくばコレクション」

10月31日(日)から11月7日(日)まで筑波実験植物園(通称:つくば植物園)が保全する3000種以上の世界の野生ランの中から、美しい花、珍しい花など約200種類のランが多目的温室で公開されました。

初日にはつくば植物園の遊川知久先生の講演「シラン?ワカラン?ランの七不思議」がありましたが、この日は人も車もいっぱい、高齢者は遠慮しました。

ところが展覧会が終わってからYou Tubeで講演が公開されていることに気づき視聴しました。

「シラン?ワカラン?ランの七不思議」

初めに予習してから行けばよかったのに残念でした!

高温多湿の温室内で人を避けて写真を撮るのはむつかしく、画像がよくありませんが、今年の記録として遅まきながら少しだけ報告します。

 

ディモルフォルキス・ベッカリー

ニューギニア島低地の灼熱の環境で育つ奇妙なラン。

現地では花茎5〜7m、葉の長さ1.5mにもなるそうです。

つくば植物園で10年以上育て、3年前に初めて開花したという貴重な花です。

茎は枯れずに同じ茎に3年目の花を付けています(ランとしては珍しい)。

DNA鑑定からフウランに近いランだとわかったそうです。

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パフィオペディルム ミクラントウム

中国南部とベトナム北部の国境地帯に自生。

見事な造形美! クマガイソウやアツモリソウに似ていますね。

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パフィオペディルム スピケリアヌム

原産地:中国(雲南省)〜ブータンの山地

なんとひょうきんな花でしょう!

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あっ!昆虫が入りました。翅が見えています。

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デンドロビウム・カスバートソニー

原産地ニューギニア島

クリーム色に赤褐色の一刷毛、もこもこした葉が珍しい。

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デンドロビウム・ラエビフォリウム

原産地:ニューギニアソロモン諸島など

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コリバス ピクタス

原産地:オーストラリア、ニューギニア

キノコに擬態し、キノコバエが産卵に来て受粉に関わっているという珍しいラン。

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マスデバリア・コッキネア

主にアンデス山脈の雲霧林に生育。

萼片だけが大きく発達してこんな面白い形になったそうです。

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2)ラン愛好団体の作品

アカバナナが咲く大温室に県内の協力団体のラン愛好者の力作が熱帯植物を背に並んでいました(つくば洋蘭会・らん友会龍ケ崎水戸市植物公園蘭科協会)。

初めは「ランの女王」とよばれるカトレアのいろいろ。

そのカトレアの命名には意外なドラマがあったことを知りました。

1818年、イギリスの園芸家カトリーはブラジルから届いた資料の梱包に使われていた肉厚の丈夫な葉をもつ植物に興味を持ち、育てたところ見たこともない華麗な花が咲き、カトリーの名を冠したカトレア属が設けられたのだそうです(朝日百科植物の世界9-203)。

カトレア・ラビアタ

 自生地:ブラジル西北部アマゾン川河口の南側

 長楕円形で肉厚の葉を1枚だけ付け、直径13〜15cmの桃紫色の花を咲かせます。

カトレア・マキシマ 

 自生地:南米ペルーからエクアドル

最近のカトレアの主流。カトレアの中でも最も大型で豪華。

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右端はグアリアンセ・ボーリンギアナ ↓ 。

たくさん花が咲く性質を活かして カトレア・ラビアータとの交配種が多数作られているそうです。

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次はデンドロビウム、でも昔育てたのとはかなり異なりそれぞれ個性的です。

デンドロビウム・キャンディ・ストライプ

      交配種

        優しいストライプに惹かれました。

       

(参考)ランの花の基本構造は6枚の花被片です。

    うち花弁は3枚で2枚の側花弁と中央の唇弁(リップ)。

    そして萼片が3枚。

    中央は雌しべ・雄しべが合体した蕊柱(ズイチュウ)。

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デンドロビウム グリーン ミスト

 交配種

 唇弁にだけ血管のような模様がありますね。

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デンドロビウム ブラマ ツイスト

唇弁以外の花被片が延びて螺旋状に撒いているようです。

「3年目でやっと咲きました」とコメント欄に書かれていました。

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バンダ・コエルレア Vanda coerulea
ヒスイラン属 和名:ヒスイラン 翡翠蘭(命名 牧野富太郎博士)

原生地:インド カシア高地 

ランには珍しく淡青色の地に青紫色の網目模様が入る花です。

「coerule」は「暗青色」の意。

日本には明治30年に渡来。

遊川先生のお話では大正天皇即位式のために和名を付け、新宿御苑に飾られたそうです。

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ハベナリア レグ二エリ

交配種 Habenaria carnea x Habenaria rhodocheila

ランには珍しいサーモンピンクの花です。見事な大株!

サギソウに近い種と。

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エピデンドラム・エブルネウム

原産地:パナマコスタリカ 

白く大きな唇弁と5枚のプロペラ状の花弁・萼片との組み合わせが美しい。

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デンドロキラム・ウェンゼリー

フィリピンの熱帯多雨林で樹幹に着生。

細い葉と穂状の花。ランとは思えぬ姿です。

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ラン科は被子植物の中で最も多様性に富む科です(約800属2万種)。

つくば植物園は「世界の主要なラン保全施設」に日本から唯一選定されているそうです。

今回は「日本固有の希少種」のパネル展示もありました。

この植物園の屋外ではキンラン・クマガイソウ・フウラン・サギソウなども見られます。

私の庭にもシュンラン・シラン・エビネネジバナなどが少しだけ植えてあります。

(前のブログではシュンランシランの花粉塊や種子 を観察を記載しました)

遅すぎの感もありますが、これからもラン科植物を楽しませていただこうと思います。

 

追加 2021.11.30.

まだ 「シラン?ワカラン?ランの七不思議」 のYou Tubeが見られるようです。

ここに追加しますので是非ご覧ください。

 

www.youtube.com